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福娘童話集 > 日本昔話 > その他の日本昔話 >親指太郎
第 33話
親指太郎
むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
二人は何不自由ない暮らしをしていましたが、子どものいないのがさみしくてなりません。
そこで観音さま(かんのんさま)にお願いをすると、不思議なことにおばあさんの親指がみるみるふくらんできて、指の先からかわいらしい男の子が飛び出してきたのです。
その男の子は指から生まれただけに、指の大きさほどしかありません。
おじいさんとおばあさんは『親指太郎』と名づけて、男の子を大切に育てました。
ある日の事、川でささ舟に乗って遊んでいた親指太郎は、急に降ってきた大雨に流されると、海まで運ばれてしまいました。
するとそこへ大きなタイが現れて、親指太郎を一口で飲み込んでしまいました。
「さて、どうしようか?」
親指太郎が出る方法を考えていますと、運の良い事にタイは漁師のアミにかかりました。
「うまそうなタイだ。さっそく食おう」
漁師はタイをまな板の上にのせると、包丁をふりあげました。
タイといっしょに、切られてはたまりません。
そこで親指太郎がタイのお腹の中で、
♪ステテコテンで スッテンテン
と、おどり出すと、タイがまるで生きているようにはね回ります。
「おや? こりゃ、中に何かがおるぞ」
漁師が用心深くタイの腹をさばくと、中から親指太郎が現れました。
親指太郎がこれまでの出来事を漁師に話すと、漁師はあわれに思って、親指太郎をおじいさんとおばあさんのもとへ連れて行ってくれました。
その後、親指太郎は鬼退治をして宝物を手に入れ、おじいさんとおばあさんに孝行(こうこう)をしたということです。
おしまい
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