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5月22日の百物語
イラスト 「夢宮 愛」 運営サイト 「夢見る小さな部屋」
人食い鬼の娘 食人魔的女儿
翻訳者 ソウ キョウ
むかしむかし、大阪のある山に、恐ろしい人食い鬼が住んでいました。
很久很久以前,在大阪的一座大山里,住着可怕的食人魔。
その人食い鬼には一人娘がいて、今日は初めて人間を食べる日です。
那个食人魔有个女儿,这一天是她准备第一次吃人的日子。
「さあ、もうすぐここを人間が通るから、襲いかかって食べるんだよ」
“好啦,马上就要有人经过这里了,你要袭击他然后把他吃掉。”
鬼の父親がやさしく言うと、鬼の娘は怖がって首を振りました。
食人魔爸爸温柔地说到,可女儿却害怕地摇摇头。
「いやや。人を食べるなんて、いやや」
“我不要。吃人什么的,我才不要呢。”
「大丈夫、わしがついていてやるから。
“没关系,我会跟着你的。
大体、人も食えんようでは、立派な人食い鬼にはなれんぞ」
你要是不学会吃人,怎么能成为真正的食人魔呢。”
「でも・・・」
“可是…”
「さあ、頑張るんだ」
“好啦,你可要加油啊。”
鬼の父親は、一生懸命に娘に言い聞かせました。
食人魔爸爸一个劲儿地劝说女儿。
するとそこへ、男の人が通りかかりました。
就在这时,有个男的路过了这里。
きりりとしたなかなかの美男子で、それに力も強そうです。
是一位英姿飒爽的帅小伙,看起来非常强壮。
鬼の娘は怖いやら恥ずかしいやら、すぐに父親の後ろに隠れました。
食人魔女儿又害怕又害羞,立刻躲到了父亲背后。
「ほら、何をぐずぐずしている。早く食わんか」
“哎呀,你磨磨蹭蹭什么呢。还不赶快吃了他。”
鬼の父親は、娘を男の人の前に突き出しました。
食人魔把女儿推倒了那男的跟前。
「人食い鬼だ!」
“我是食人魔!”
びっくりした男の人は、すぐに逃げ出そうとしました。
受到了惊吓的男子,想要马上逃跑。
すると鬼の娘は、手で顔を隠して泣き出したのです。
结果食人魔的女儿却用手掩着脸哭了起来。
「いやや。人を食べるなんて、いやや」
“我不要。吃人什么的,我才不要呢。”
相手は人食い鬼といっても、まだ可愛い娘です。
站在男子面前的虽说是个食人魔,但也还是个可爱的小姑娘。
男の人は落ち着くと、鬼の娘にやさしく言いました。
那男的缓过神来,对食人魔的女儿温柔地说。
「よしよし、もう泣くな。
“好了好了,不哭了。
それよりも、わたしと腕相撲をしないか。
要不你跟我比试比试掰手腕吧。
もしお前さんが勝ったなら、わたしは喜んで食われてやるよ。
你要是赢了我,我就心甘情愿被你吃掉。
でもお前さんが負けたなら、もう人を食うのをあきらめておくれ。
但是你要是输了,以后可就不准再吃人了。
いいね」
你看怎么样。”
そのとたん、鬼の娘はにっこり笑いました。
话音刚落,食人魔的女儿咯咯笑了。
鬼の娘は腕相撲が大好きで、これまで鬼の仲間に負けた事がありません。
这女孩非常喜欢掰手腕,在食人魔小伙伴中还没输过谁呢。
「うん。腕相撲をしよう」
“嗯,那就掰手腕吧。”
そして男の人と鬼の娘は、さっそく腕相撲をはじめました。
于是,那名男子就与食人魔的女儿掰起了手腕来。
「はっけよい。のこった!」
“预备!开始!”
ところが男の人の力はとても強くて、鬼の娘の腕は今にも倒れそうです。
谁知那男的力大无比,小姑娘的手腕眼看就要被扳倒了。
隠れて見ていた鬼の父親も、とうとうがまん出来ずに飛び出してきました。
躲在暗处观察的父亲终于忍不住跳了出来。
「娘よ、何をやっている。相手は、たかが人間だぞ。しっかりしろ。ほれ、今だ」
“好女儿啊,你在干什么啊。他可只是个人类而已啊。振作起来!好,就趁现在!”
でも男の人は強くて、鬼の娘は体ごとひっくり返されてしまいました。
然而,那男的实在太厉害了,将小姑娘的整个身子都掀翻了过来。
「やん、負けてしもうた」
“唉,输了呢。”
鬼の父親は娘を起こすと、叱る様に言いました。
食人魔叫醒女儿,呵斥道:
「何とも、なさけない。これでは、人を食う事が出来んではないか」
“怎么回事,真丢脸。你这样不就吃不成人了吗?!”
そして鬼の父親は、男の人に言いました。
接着食人魔对那男的说:
「今度は、つな引き勝負だ」
“这次用拔河来一决胜负!”
そして持っていたつなの一方を男の人に渡すと、鬼の父親は娘と二人でつなを力一杯引っ張りました。
然后拿来绳子,一头递给那男的,另一头食人魔和女儿两个人一起使劲拽着。
「それ! 鬼の力を見せてくれよう!」
“哼!让你见识见识食人魔的厉害!”
しかし男の人はとても強くて、鬼の親子はずるずる引っぱられてしまいます。
然而还是那男的力量太大,食人魔父女俩哧溜哧溜就被拽了过去。
「おい! 誰か手伝え!」
“喂!快来帮忙!”
鬼の父親の言葉に、どこからか二人の鬼が飛び出して来て、一緒につなを引き始めました。
听了食人魔的话,也不知从哪儿冲出来两个小鬼儿,一起帮忙拽绳子。
「それ引け、わっしょい! それ引け、わっしょい!」
“使劲,拉呀!使劲,拉呀!”
四人の鬼は、歯を食いしばって、つなを引きます。
四个妖魔鬼怪咬紧了牙关使劲拉着绳子。
ところが四人ともずるずると引っ張られてしまい、男の人の方へと倒れ込んでしまいました。
可他们四个还是被那个男的哧溜哧溜拽了过去、
鬼の父親は、びっくりです。
食人魔父亲非常惊讶。
「こいつは、たまげた!
“这家伙,真是力大无穷!
お前は、いやあなたは、なんと力の強いお人だ。
你小子,哦不,您力量真是太大了。
とてもとても、我々鬼の食えるお人ではない」
真不是我们这些妖魔鬼怪能吃得了得人呐。”
感心する鬼の父親に、男の人が言いました。
佩服至极的食人魔父亲对那男的说。
「それでは約束通り、人を食うのをやめてもらうぞ」
“就按刚才的约定,我们再也不吃人了。”
「わかった。約束は守ろう」
“好,那就这么定了。”
それから鬼たちは約束を守って、二度と人を襲わなくなったそうです。
从那以后,食人魔遵守承诺,再也没有袭击过人类。
おしまい
完
年賀状
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