11月12日 洋服記念日
1872(明治5)年のこの日、「礼服には洋服を採用す」という太政官布告が出されました。これは、公家・武家、いわゆる裃(かみしも)や束帯(そくたい)などの和式の礼服を廃止し、洋服の使用を促進するというもの。全日本洋服共同組合連合会が1972(昭和47)年に制定。
記念日アニメ
洋服に関する昔話
(スペインの昔話)
みえないきもの
福娘童話集より
むかしむかし、三人のサギ師がいました。
いつもいつも、じょうずに、うそをついては、人の物をとっていたのです。
あるとき、三人のサギ師は、王さまのところへいって、いいました。
「王さま。わたくしたちは、とてもふしぎな布を、おることができます」
「ほう、どのような布じゃ?」
「ほんとうのむすこには見えますが、にせもののむすこには見えないという、ふしぎな布でございます」
王さまは、びっくりしました。
「ほんとうに、そのような布がおれるのか?」
「はい。ほんとうに、おれます」
王さまは、すっかり感心しました。
そのころ、この国では、おとうさんが死ぬと、そのあとをついで、家や、土地や、お金をもらえるのは、ほんとうのむすこだけ、ということになっていました。
「そういう便利な布があれば、だれがほんとうのむすこか、はっきりわかるわけだ。そして、ずるいにせものを、かんたんに見つけることもできるぞ」
そこで王さまは、三人のサギ師に、金や、銀や、絹をたくさんやって、そのふしぎな布をおらせることにしました。
サギ師たちは、お城の中の一へやに入って、布をおりはじめました。
四、五日たつと、三人はいいました。
「王さま。世界一めずらしい布がだんだん、できてまいりました。一度、ごらんになってください」
(わしは、まちがいなく、まえの王さまの、ほんとうのむすこだ)
と、王さまは思っていました。
でも、なんとなく、心配です。
そこで、さきに、いちばんえらい家来を見にやりました。
いちばんえらい家来は、もどってくると、こういいました。
「それはそれはきれいな布が、できかかっておりました」
王さまは、もうひとりの家来を見にやりました。
その家来も、同じようにいいました。
「いままでに見たこともない美しい布が、できかかっております」
「家来たちに見えるのなら、わしにも見えるだろう」
こう思った王さまは、やっと自分で見にいきました。
三人のサギ師は、ねっしんにはたらいているふりをしました。
サギ師たちは、なにもない台の上をゆびさしながら、いいました。
「王さま。まことに美しい色でございましょう」
「・・・?」
王さまには、なにも見えません。
目をこすってみても、やっぱり見えません。
さあ、たいへんです。
このことが人に知れたら、王さまは、前の王さまのほんとうのむすこではないと言われて、王さまをやめなければなりません。
それではこまりますので、王さまは、わざとむねをはって言いました。
「うむ、なかなかに見事じゃ。できあがりをたのしみにしておるぞ」
それから、三日たちました。
王さまは、こんどは、正直者の裁判長に、布を見てくるように、いいつけました。
裁判長が仕事場にはいっていくと、三人のサギ師は、またまたいっしょうけんめい働いているふりをしました。
そして、美しい色や、すばらしいもようを、しきりに説明しました。
けれども、裁判長には、なんにも見えません。
裁判長は青くなりました。
だって、もしも、まえの裁判長のほんとうのむすこでないとすれば、裁判長という、りっぱな役目を、やめさせられてしまいますから。
そこで、王さまの前へもどってきて、
「あれは、わたくしが、いままでに見たなかで、いちばん美しい布でございます」
と、見えない布をほめました。
王さまは、おどろきました。
自分に見えないものが、ほかの人たちには、ちゃんと見えるのです。
王さまは、また、べつの役人に布を見てくるように、いいつけました。
この役人も、
「たしかに、世界でいちばん美しい布でございます。」
こうなっては、王さまもますます、見えるようなふりをしていなければなりません。
「みなの者。もうすぐ、世界でいちばん美しい布が、できあがるぞ」
とうとう、見えない布が、できあがりました。
王さまは、そのふしぎな布で、新しい着物をつくらせました。
そして、お祭りの日に、そのすばらしい着物をきて、町じゅうをまわることにしました。
いよいよ、お祭りの日になりました。
三人のサギ師は、ありもしない着物を、王さまに着せるふりをしました。
それを見て、家来たちは口ぐちにほめました。
「よくお似合いでございます」
「色も、もようも、ほんとに、きれいでございます」
「この様にうつくしい着物は、今まで見たことがありません。さあ、王さま、町の人たちにも見せてやってください」
王さまは、町の人たちの前に出ました。
町の人たちは、王さまを見てビックリ。
どう見ても、パンツ一つしか、はいていないのです。
でも、王さまの着物が見えないといえば、おとうさんのほんとうのこどもでないと思われます。
それで、みんなだまっていました。
そのとき、ひとりのどれいが、王さまの前に進み出て、いいました。
「王さま。わたしは、だれのこどもでもかまいません。わたしの目にうつる、ほんとうのことをいいます。王さまは、はだかで、馬にのっていらっしゃるんです」
「だまれ、だまれ、ばか者!」
と、王さまは、カンカンにおこって、どなりつけました。
しかし、どれいのことばを聞くと、
「王さまは、はだかだ。王さまは、はだかだ」
と、みんながいいはじめました。
王さまも、ようやく三人のサギ師にだまされたことに、気がつきました。
すぐに、家来をやって、三人をつかまえさせようとしました。
ところが、そのときにはもう、三人のサギ師は、金や、銀や、絹を、たくさんもって、にげてしまっていました。
このおはなしは、アンデルセンの「はだかの王さま」または「皇帝の新しい着物」のもとになったおはなしです。
おしまい
他の記念日
皮膚の日
日本臨床皮膚科医学会が1995(平成7)年に制定。
「いい(11)ひふ(12)」の語呂合せ。
各地で無料相談会や講演会等が行われます。
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