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        5年生のイソップ童話 
         
          
         
ヘルメスと彫刻家(ちょうこくか) 
      
       商売の神ヘルメスは、あるとき、自分が人間たちのあいだで、どのくらい尊敬(そんけい)されているかを知るために、人間の姿(すがた)になってひとりの彫刻家(ちょうこくか)のアトリエヘやってきました。 
   見ると、神がみの中でいちばんえらいゼウスの像(ぞう)があります。 
  「これは、いくらで売るのかね?」 
  と、ヘルメスはたずねました。 
  「1ドラクマです」 
   ヘルメスは、にやりと笑って、  
  「じゃあ、そっちにあるヘラ(→ゼウスのおくさん)の像(ぞう)はいくらだ」 
  「こっちのほうが高いですよ」 
   ヘルメスは、自分をかたどった像(ぞう)もあるのに気がつきました。  
   なにしろ自分は商売の神さまだし、ゼウスの神のおつかい役もつとめるくらいだから、きっと、とくべつに人間からあがめられているだろうと思って、  
  「このヘルメスはいくらだ?」 
  と、たずねました。 
   すると彫刻家(ちょうこくか)は、 
  「そうですねえ。ゼウスとヘラと、2つともかってくれたら、これはおまけとして、ただであげますよ」 
   
   この話は、だれからも尊敬(そんけい)されていないのに、自分だけがえらいような顔をしている、うぬぼれやに聞かせる話です。  
      おしまい         
         
        
       
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