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4月7日の日本の昔話
  
  
  
  ニワトリのおなら
 むかしむかし、ある家に、一羽のニワトリがいました。
   ある日のこと。
   ニワトリが庭の木にとまってないていると、その下をキツネが一ぴき通りました。
   キツネはニワトリを見ると、何とか取って食いたいと思い、
  「ニワトリさん、とてもいい声ですね。でも、もっと下で鳴けば、もっといい声が出ますよ」
   キツネの言葉に、ニワトリは下の枝に飛び移ってなきました。
   するとキツネは、
  「ニワトリさん、前よりもずいぶんいい声になりました。でも、もう一つ下がらないと」
   ニワトリはよろこんで、もう一つ下の枝にとまってなきました。
   ところが、そこはキツネの頭のすぐ上だったので、ニワトリはたちまちキツネにつかまってしまいました。
  「ヒッヒヒヒ。バカなニワトリさん。では、いただきまーす」
   大きな口をあけるキツネに、ニワトリはあわてていいました。
  「まっ、待ってください、キツネさん。じつは、おらの家でも、今夜おらを食うといっていたから、おら、たたかう武器として、針を一本ぬすんでおいたんだ。しっぽのところに隠してあるから、おらを食うんだったら、その針をぬいてからのほうがいいよ」
  「そうか、それはごしんせつに」
   キツネはさっそく、しっぽのまわりをさがしてみました。
   すると、ニワトリはキツネの顔めがけて、「ブッ!」と、おならをあびせました。
  「わあっ!」
   キツネがビックリして手をはなしたすきに、ニワトリは木の上に逃げてしまいました。
おしまい