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4月18日の日本の昔話
  
  
  
  くらいふしあな
 むかしむかし、ある村に、人をだましてわるさをする、いたずらダヌキがいました。
  「おれもばかされて、べんとうをとられた」
  「おれは、まぐそ(ウマのウンコ)のまんじゅうをくわされたぞ」
   そんなうわさがひろがると、村でいちばんちからじまんの男が、
  「ばかされるやつがまぬけなんだよ。おれは、ぜったいばかされん。そんなタヌキなどはつかまえて、こらしめてやる」
  と、タヌキの出る野原へでかけていきました。
   すると、草のかげでタヌキが頭に葉っぱをのせて、ドロンと娘にばけているではありませんか。
  「ははん。ひとにわるさをするタヌキは、こいつだな」
   男があとをつけていくと、タヌキのばけた娘は町にやってきて、お酒屋さんに入りました。
  「酒屋か。ひるまから人をだまして、酒を手に入れるつもりだな」
   男はお酒屋さんの入り口に、ふしあながあるのを見つけると、そこから中をのぞきこみました。
  「なんだ、ずいぶんとくらい店だな。まっくらで、なにもみえやしないぞ」
   男がなおも、ふしあなに顔を近づけると、
  「ああ、あぶない、あぶない!」
   大きなこえで、ちゅういするひとがいました。
  「なにがあぶないもんか。もうすぐ、いたずらダヌキをつかまえてやる」
   男がそういったとたん。
   ウマのうしろ足で、ポカーンと、けとばされてしまいました。
   と、いうのも、男がふしあなだと思ってのぞいていたのは、野原で草をたべていた、うまのおしりの穴だったからです。
  「おう、いててて・・・。やられたわい」
   タヌキにばかされた男は、すごすご、かえっていきました。
おしまい