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7月20日の日本の昔話
  
  
  
  かねのとりい
 むかしむかし、きっちょむさん(→詳細)と言う、とてもゆかいな人がいました。
   きっちょむさんがあるとき、村の家いえをまわってたのみました。
  「はちまんさまの木のとりい(→詳細)が、ふるくなってこわれそうじゃ。みんなでいくらかずつをだしあって、金のとりいをきふしたいとおもうが、どうだろう?」
  「それはよいかんがえだ。きっちょむさんも、たまには、いいことをいうものだ」
   村の人たちは、きっちょむさんにお金をあずけました。
   いく日もたたないうちに、きっちよむさんが、
  「金のとりいができました」
  と、ふれまわったので、
  「ほう、ずいぶんはやくできたな」
  「どんなにりっぱなとりいだろう」
   さっそく村の人たちは、はちまんさまヘでかけました。
   ところが、とりいはそのままで、金のとりいなどみあたりません。
  「どういうことだ? きっちょむさんをよんで、わけをきこう」
  と、いうことになりました。
   きっちょむさんはやってくると、
  「ほら、そこにちゃんとたててあるではないか」
   そういって、みんなの足もとを、ゆびさしました。
   そこには、ぬいものにつかうもめんバリでつくった、小さなとりいがおかれています。
  「なるほど、これもたしかに金のとりいだ。こりゃあ、きっちょむさんに、いっぱいくわされたわい」
   村の人たちは、わらいながら、かえっていきました。
おしまい