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9月21日の日本の昔話
  
  
  
  おんぶおばけ
 むかしむかし、とてもおくびょうな男が山道を歩いていると、どこからともなく、こわーい声がします。
  「・・・おんぶしてくれぇ、・・・おんぶしてくれぇ」
  「ひっ、ひゃあー!、おばけだあっー!」
   逃げても逃げても、お化けの声はどこまでも追いかけてきます。
  「・・・おんぶしてくれぇ、・・・歩けなくて、・・・困ってるんだ。・・・たのむ」
  「・・・・・・」
   その声に、男はかわいそうになりました。
  「わかった、おんぶしたきゃ、おぶされ」
   すると、男の背中にお化けが、ズシン! と、のっかりました。
  「おっ、おもてえ! まあ、しかたない。しっかりつかまったか? いくぞ!」
   男は目をつぶって、いちもくさんに帰りました。
   なんとか家につきましたが、背中には重たいものが乗っかかったままです。
   男はおそるおそる背中のものを下ろしてみると、それはなんと、小判がぎっしり詰まった大きなつぼでした。
   おくびょうだけど、心やさしい男は、大金持ちになりました。
おしまい