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10月14日の日本の昔話
  
  
  
  ヒバリとお日様
 むかしむかしのことです。
   お金持ちのヒバリがいました。
   ヒバリは、お金を貸す商売をしていました。
   ある春の日。
   お日さまがやってきて、ヒバリにお金を貸してくれとたのみました。
   ヒバリは、すぐにお金を貸してあげました。
   やがて、夏がきました。
   お日さまは、カンカンてっているだけで、お金を返しにきてくれません。
   ヒバリは、お日さまのところへいって、お金を返してもらいたいと思いました。
   けれども、あんまりお日さまがギラギラと光ってまぶしいく、それにとても熱かったので、近づくこともできません。
   そのうち、すずしい秋になりました。
   お日さまの光も弱くなりました。
   それでヒバリは、どんどん空高く上っていきました。
  「お日さま、お金を返してください」
   ヒバリがさけびました。
   すると、お日さまは、
  「今に返すから、もうちょっと待て」
  と、いうだけで、雲(くも)にかくれてしまうのです。
   しばらくして、またお日さまのところへいくと、お日さまは大雨をふらせて、どこかへいってしまいました。
   かわいそうに、ヒバリはずぶぬれです。
   そんなことをしているうちに、冬がきてしまいました。
   毎日冷たい風がふいたり、冷たい雪がふったりするので、ヒバリは、お日さまのところへいくことができません。
   それどころか、草むらの巣の中で、「寒い寒い」と、ふるえていました。
   そして、お正月になりました。
   ヒバリは、おもちをついたり、ごちそうをつくったりしました。
   だから、お金をすっかり使ってしまったのです。
   もう、お金はありません。
   だからどうしても、お日さまからお金を返してもらわないと困ります。
   ヒバリは、春がくるのを待ちました。
   そしてとうとう、春がきました。
   ヒバリは喜びいさんで、空高く上っていきました。
   それなのに、お日さまは知らん顔をして、お金を返そうとしないのです。
   でも、ヒバリはガマン強く空に上っては、
  「貸した金返せ。貸した金返せ」
  と、さけび続けました。
   それで今でも春になると、ヒバリは高い空の上で、一生けんめいにさけび続けているのです。
おしまい