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12月5日の日本の昔話
  
  
  
  ひょうたん1つでカモ十羽
 むかしむかし、きっちょむさん(→詳細)と言う、とてもゆかいな人がいました。
   そろそろ秋が深まり、きっちょむさんの村にも、カモ(→詳細)がとんでくるようになりました。
  「カモを取って食いたいが、庄屋(しょうや→詳細)さんのように、鉄砲も持っていないし、どうやってカモをとろうか。・・・そうじゃ」
   きっちょむさんは、ポンと手をたたくと、ひょうたんのくびれたところになわをつけて、池にでかけました。
  「おお、いるわ、いるわ。カモのやつ、なんにもしらずに、あそんでおるわ」
   きっちょむさんは、ふんどしひとつになると、ひょうたんをかかえて、池に入っていきました。
   ひょうたんのなわのとちゅうには、おもりの石がしばってあります。
   きっちょむさんはひょうたんをうかべると、水面から首だけ出して、水草のかげにかくれました。
   カモは、そんなことは知りません。
   およぎつかれたところに、ひょうたんがヒョッコリとうかんでいます。
   これはいいものがあると、カモはひょうたんにあがって、はねをつくろいはじめました。
   ゆだんしきっています。
  「しめしめ」
   きっちょむさんは水草のかげから、そっと手をのばして、カモのあしをギュッとつかみました。
   手づかみでいけどりです。
  「はい、いっちょうあがり」
   こうしてつかまえたカモは、なわのはしに、つぎつぎとしばっていき、とうとう十羽になりました。
   ひょうたんひとつで、たいりょうです。
   きっちょむさんはカモをかついで家にかえり、その晩はカモなべをつくりました。
おしまい