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12月13日の日本の昔話
  
  
  
  ウナギつりのおじいさん
 むかしむかし、ウナギつりのすきなおじいさんがいました。
   ある日、大きなウナギをつりました。
   あまり大きくておもいので、さおがあがりません。
  「ええいっ」
   ちからいっぱいあげたはずみに、ウナギは川をとびだして、ブーンと、むこうの山までとんでいきました。
  「にげられたらたいへん。もったいない」
   おじいさんは、ウナギをおいかけて、むこうの山までいきました。
   いってみて、おじいさんはビックリ。
   ウナギのそばに、イノシシ(→詳細)が一とう、たおれているではありませんか。
   イノシシは、ひるねをしていたのですが、ちょうどそこへウナギがおちたのです。
   イノシシはウナギにうたれて、あっというまに死んでしまったのでした。
  「ウナギとイノシシが、一どにとれたぞ。きょうは、なんといい日だろう」
   おじいさんはよろこびましたが、イノシシがおもくて、手にはもてません。
  「なわでしばってしょっていこう。だが、ここになわはない。そうだ、ふじのつるを、なわのかわりにしよう」
   おじいさんは、ふじのつるを見つけました。
  「あったあった。じょうぶそうなふじのつるだ」
   りょう手でつかんで、ひっぱりました。
   すると、どうでしょう。
   ふじのつるに、ヤマイモのつるがからまっていて、ふじのつるといっしょに、ヤマイモがズルズルとぬけてきました。
  「これはこれは、また大もうけだ」
   おじいさんは、ヤマイモを数えてみると、十本もありました。
  「こうたくさんあっては、もちきれない。ちょうどあそこに、かやがある。わらのかわりに、あのかやで、つと(わらなどを束ねて物を包んだもの)をつくっていれていこう」
   かやが一かぶありましたから、くさきりガマでザックリと、かりとりました。
   バタバタバタ。
   かやがうごいて、とりのはねがみえました。
   キジがかくれていたのです。
  「はてさて、きょうは、まったくいい日だよ。ウナギとイノシシ。ヤマイモとキジ。ずいぶんたくさんとれたな。こんばんは、たくさんごちそうがたべられるぞ」
   ひとりごとをいいながら、キジをひっぱりだすと、かやのなかに、白いものがころがっています。
  「あれあれ。キジのたまごだよ」
   みんなで、十三こありました。
   おじいさんは、イノシシをせなかにせおいました。
   ウナギをみぎ手にぶらさげました。
   ひだり手には、かやのつとをもちました。
   つとのなかは、キジとヤマイモと、たまごです。
   おもいおもいと、おじいさんはうちへかえりました。
   とちゅうで、かれえだをひろいました。
   ごちそうをつくるときの、たき火にしようとおもったのです。
   イノシシの上に、しょってかえりました。
   おじいさんは、村の人をよびあつめました。
  「ウナギにイノシシ。キジにヤマイモ。キジのたまごもありますよ。うまいりょうりをつくりますから、どれでもすきなのをたべてください」
  と、いいました。
   大きななべに、イノシシの肉を入れました。
   小さななべには、ウナギを入れました。
   火をもやそうと、かれえだをもつと、クックッとなくものがいました。
  「おかしいな。なんだろう」
   しらべてみると、イタチが三匹、かくれていました。
  「わたしがよくはたらくので、神さまが、こんなにたくさんほうびをくださったのだ」
   おじいさんはニコニコして、村の人にごちそうをふるまいました。
おしまい