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        2年生の江戸小話(えどこばなし) 
        
      剣術指南(けんじゅつしなん) 
      
       《剣術(けんじゅつ)おしえいたします》 
  と、書(か)いたかんばんをかけてある、家(いえ)がありました。 
   さっきから、かんばんをじっと見ていた、若(わか)い男が、つかつかと中に入っていって、 
  「どんな流儀(りゅうぎ)の剣術(けんじゅつ)でもけっこうですから、わたくしに、剣術(けんじゅつ)をおしえてください」 
  と、弟子入(でしい)りを申し出(もうしで)ました。 
   中から出てきた、家(いえ)の主人(しゅじん)が、  
  「さては、おまえさまは、外(そと)のかんばんを、ごらんになられましたな?」 
  と、きくので、 
  「いかにも、さようでございます」 
  と、こたえると、家(いえ)の主人(しゅじん)は、頭(あたま)をかきかき、 
  「これは、ないしょだがな、あのかんばんは、実(じつ)は、どろぼうよけのかんばんじゃ。ああしておけば、どろぼうがこわかって、こないだろう」 
      おしまい 
        
       
         
         
        
      
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