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        4年生の江戸小話(えどこばなし) 
        
      早業 
      
        《剣術指南(けんじゅつしなん→剣術を教えること)》 
と、大きな看板をかかげた家で、弟子の一人が先生に聞きました。 
「先生、この間、むぼうにも試合(しあい)を申し込んだ者がいましたね。先生の事だからむろん、さんざんに打ちのめしてやったのでしょう」 
「うむ。まだまだ下手な奴であった。試合に立ち合うのはやめようと思ったが、ひきょう者などと言われると困るから、仕方なしに立ち合ったわ」 
「ほう、して、どのように立ち合われました? 詳しく教えてください」 
「そうか、ならば教えよう。相手が真一文字にうってくるところを、わしは自慢の早業で・・・」 
「早業で、どうなされました?」 
「素早く、ひたいで受け止めたわ」 
「・・・へっ?」 
 弟子がよく見てみると、先生のひたいは青くはれ上がっていました。 
      おしまい         
         
        
       
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