2年生の江戸小話(えどこばなし)
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イラスト myi ブログ sorairoiro
はっぱの手紙(てがみ)
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たいへん、けちんぼうな、だんながおりました。
ある時(とき)、手紙(てがみ)を出そうと思(おも)いましたが、きゅうに、紙(かみ)に書(か)くのが、もったいなくなりました。
「人にやるもんに、紙(かみ)はもったいない。あれに書(か)こう」
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だんなは、にわのカキの木のはっぱを二、三まいとると、それに手紙(てがみ)を書(か)いて、つかいのものに、もたせました。
さて、それをもらったあいてのだんなも、手紙(てがみ)を出しただんなにまけず、けちんぼうです。
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「ほほう。かきのはっぱの手紙(てがみ)とは、あいつも、なかなかやるな。では」
こちらのだんなは、手紙(てがみ)をもってきた、つかいのものに言(い)いました、
「すまないが、上着(うわぎ)をぬいで、せなかを出しなさい」
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言(い)われた通(とお)りにすると、そのせなかへ、さらさらさらと、手紙(てがみ)のへんじを書(か)きました。
しばらくたって、つかいのものが帰(かえ)ってきますと、だんながききました。
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「ごくろうだった。して、手紙(てがみ)のへんじは、もらったかい?」
「はい、へんじは、ここにあります」
つかいのものが、せなかを見せると、けちんぼうのだんなは、ざんねんそうに言(い)いました。
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「なんと、その手があったか。さっきのカキのはっぱは、おしいことをしたわい」
おしまい
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