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        4年生の日本民話(にほんみんわ) 
          
          
         
お金入りの米だわら 
石川県の民話(みんわ) 
       むかしむかし、ある村のお寺に、とても力持ちの和尚(おしょう)さんがいました。 
   もう、すっかり年をとっているのに、重い米だわらをヒョイと持ちあげてしまうのです。 
   そればかりか、力の弱い若者(わかもの)たちを見ては、 
  「若い者(わかいもの)が、米だわら一つ持ちあげられないでどうする。そんなこっちゃ、一人前のお百姓(ひゃくしょう)さんになれないぞ!」 
  と、しかりつけるのです。 
   だから村の若者(わかもの)たちは、おもしろくありません。 
  「年よりの和尚(おしょう)さんから、バカにされるなんて、くやしいなあ」 
  「そうだ。なんとかして、和尚(おしょう)さんをやっつける方法(ほうほう)を考えよう」 
   若者(わかもの)たちが集まって、相談しました。 
   すると、一人の若者(わかもの)が言いました。 
  「いくら和尚(おしょう)さんだって、お金入りの米だわらはかつげまい」 
  「お金入りの、米だわらだって?」 
   みんな、首をかしげました。  
  「そうさ、米だわらの中に、米と一緒(いっしょ)にお金をどっさりと入れておくのさ。すると米だわらは、何倍も重たくなる。そいつを和尚(おしょう)さんにかつがせるんだ」 
  「なるほど」 
  「わかったら、できるだけ重いお金を集めてこい」 
   若者(わかもの)たちは手分けして、重い銅(どう)のお金をたくさん集めてきました。 
  「でも、このお金をとられてしまったらどうする?」 
  「大丈夫(だいじょうぶ)さ。いくら和尚(おしょう)さんでも、こんな物を持てるはずがない」 
  「なるほど、これはたしかに重い。とても持ちあげられそうもないや」 
   そこでみんなは、お金の入った米だわらを、お寺へ持っていきました。  
   すると、和尚(おしょう)さんが出てきて、 
  「なんだ。いい若い者(わかいもの)が、たった一ぴょうの米だわらをみんなでかつぐとは。まったくなさけない」 
  と、言いました。 
   若者(わかもの)の一人が、くやしいのをがまんして言いました。 
  「とんでもない。この米だわらは特別(とくべつ)で、いくら力持ちの和尚(おしょう)さんでも、一人ではかつげません。もし一人でかつげたら、わしらどんなことでもしましょう。でも、かつげなかったら、二度と、わしらをしかったりしないでくださいよ」 
  「よしよし、わかった、約束(やくそく)しよう。何が入っているか知らんが、この米だわらを一人でかつぐことができたら、この米だわらをもらってもよいかな?」 
  「いいですとも。かつげるものならね」 
  (いくらなんでも、こんなに重たい物をかつげるはずはない。この勝負はおれたちの勝ちだ) 
   みんなは、そう思いました。  
  「それじゃあ、かつくぞ。ペッペッ」 
   和尚(おしょう)さんは両手にすべり止めのつばをつけると、米だわらをグイッとつかみました。 
  「おおっ! なるほど、こいつは重いわい」 
   それを見て、若者(わかもの)たちは、顔を見合わせました。 
  (見ろ。やっぱり、持ちあがらないぞ) 
  (いまに手をはなすぞ。手をはなしたら、みんなで大わらいしてやろう) 
   ところが和尚(おしょう)さんは、重い米だわらをヒョイと持ち上げると、肩(かた)にのせました。 
  「あはははは、多少は重たいが、この程度(ていど)なら、あと三つはかつげるぞ。さて、やくそくどおり、こいつはもらったよ」 
  と、言って、そのままお寺に帰っていきました。 
      おしまい 
        
         
        
       
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