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        2年生の日本民話(にほんみんわ) 
          
          
         
長者(ちょうじゃ)の心(こころ)を変(か)えた仁王(におう)さま 
富山県(とやまけん)の民話(みんわ) 
       むかしむかし、田の又(たのまた)というところに、板東長者(ばんどうちょうじゃ)と呼(よ)ばれる、お金持(かねも)ちが住(す)んでいました。 
   でも、いつのころからか、家運(かうん)が傾(かたむ)き始(はじ)めたので、家(いえ)を立て直(たてなお)そうと思(おも)った長者(ちょうじゃ)は使用人(しようにん)たちを牛馬(ぎゅうば)のようにこき使(つか)いました。 
   そのため使用人(しようにん)は一人減(へ)り、二人減(ー)りと、とうとう誰(だれ)も寄(よ)りつかなくなってしまいました。 
   そんなある日の事(こと)、筋骨(きんこつ)たくましい大男がやってきて、長者(ちょうじゃ)に、 
  「働(はたら)かせてください」 
  と、たのむので、ためしに使(つか)ってみると、朝早(あさはや)くから夜(よる)遅(おそ)くまで、とてもまじめに働(はたら)きました。 
  「いつもよく働(はたら)くな。さて、そろそろお前(まえ)の給金(きゅうきん→給料(きゅうりょう))を決(き)めようと思(おも)うが、何(なに)か望(のぞ)みはないか?」 
  と、感心(かんしん)した長者(ちょうじゃ)が大男にいうと、 
  「取り入(とりい)れが終(お)わったら、イネを一かつぎ、いただくだけで結構(けっこう)です」 
  「おお、そんなことはおやすいごようさ。約束(やくそく)しよう」 
   さて、その年の秋(あき)は、大男のおかげで大豊作(だいほうさく)です。 
   大男は約束(やくそく)通(どお)り、イネをもらうことになり、かりとったイネを全部(ぜんぶ)ひとまとめにしばると、かるがると背負(せお)っていきます。 
  「おっ、おい、まってくれ!」 
   長者(ちょうじゃ)が後(あと)を追(お)いかけると、大男は法福寺(ほうふくじ)の仁王門(におうもん)の前(まえ)でパッと消(き)えました。 
   長者(ちょうじゃ)が仁王門(におうもん)にやってくると、なんと門前(もんぜん)に泥(どろ)まみれのワラジがかけてありました。 
   そのワラジは、長者(ちょうじゃ)が大男にあたえたワラジです。 
  「も、もしや」 
   長者(ちょうじゃ)がそばにある仁王像(におうぞう)の足元(あしもと)を見てみると、その仁王像(におうぞう)の足も泥(どろ)だらけでした。 
  「そうか、そうだったのか・・・」 
   長者(ちょうじゃ)は、欲(よく)ぶかい心(こころ)をいましめるために、仁王(におう)さまが姿(すがた)を変(か)えて現(あらわ)れたことに気づき、その日から心(こころ)をいれかえたので、だんだん家運(かうん)を盛り返(もりかえ)したという事(こと)です。 
      おしまい 
        
       
         
         
        
      
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