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        3年生の日本民話(にほんみんわ) 
          
          
         
ブッポウソウのこえ 
高知県(こうちけん)の民話(みんわ) 
       むかしむかし、土佐の国(とさのくに→高知県(こうちけん))に、たいさくという人がいました。 
   ある時、たいさくが町に出かけて、 
  「わしらの山には、ブッポウソウというめずらしい鳥がいて、まことによい声で鳴くんだよ」 
  と、いいふらしました。 
   すると、それがお城(しろ)の殿(との)さまの耳にも入ったのです。 
  「このあたりにも、ブッポウソウがいるとは知らなかった。ぜひ一度(いちど)、鳴き声をきいてみたいものだ」 
   殿(との)さまが言うと、家来(けらい)たちが、 
  「ですが、たいさくという男がすんでいるあのあたりの山には、道らしい道がございません。山に入る事(こと)は、とうてい無理(むり)にございます」 
  と、言いましたが、 
  「道がなければ、道をつくればよいではないか。そうであろう」 
  「ははーっ! まことにその通りでござます」 
   家来たちはさっそく、山に道を開(ひら)きました。 
  「では、まいるとしよう」 
   殿(との)さまはカゴに乗(の)って、大勢(おおぜい)の家来と山に出かけました。 
   ところが、鳴いているのは野バトばかりです。  
  「たいさくを、これによべ!」 
   殿(との)さまはカンカンに怒(おこ)って、たいさくをよび出しました。 
  「へへーっ。およびだそうで」 
  「これ、たいさく。ブッポウソウの声など、聞こえんではないか」 
  「いいえ、ないております。ほれ、♪デデポッポゥ、♪デデポッポゥ」 
  「バカ者(もの)! あれは野バトじゃ!」 
  「そうでしたか。わしはあれがブッポウソウの声かと思いました。しかし、さすがはお殿(との)さま。物知(ものし)りですな、あははははははっ」 
   たいさくは、しかられましたが、殿(との)さまが山に道をつくってくれたので、山仕事(やましごと)が楽になったと、村のみんなから喜(よろこ)ばれたという事(こと)です。 
      おしまい         
         
         
        
       
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