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        2年生の日本民話(にほんみんわ) 
          
          
         
ひるごはんのただ食(ぐ)い 
高知県(こうちけん)の民話(みんわ) 
       むかしむかし、たいさくという、とんちの名人がいました。 
   ある日の事(こと)、たいさくは山へ仕事(しごと)に出かけましたが、お昼(ひる)になって、お弁当(べんとう)を忘(わす)れてきたことに気がつきました。 
  「しまったなあ。なんとか、ただで昼(ひる)ごはんを食(た)べることは、できないだろうか?」 
  と、考(かんが)えていたら、ちょうど、一軒(1けん)のお百姓(ひゃくしょう)さんの家(いえ)がありました。 
   うまいぐあいに、おかみさんが一人でいて、昼(ひる)ごはんの用意(ようい)をしているところです。 
  「しめしめ、あそこで、ごちそうになろとするか」 
   たいさくは、いかにもこまったような顔(かお)で、家(いえ)の中に入っていきました。 
  「すまんが、ちょっとごはんを食(た)べさせてくれんか。さっき弁当(べんとう)を食(た)べたら、魚(さかな)のほねがのどにささって、いたくてかなわん。ごはんをのみこめば、なおると思(おも)うので」 
  「そりゃ、お気の毒(きのどく)に」 
   おかみさんは、お茶(ちゃ)わんにごはんを入れて、持(も)ってきました。 
  「いやあ、もうしわけない」 
   たいさくは、お茶(ちゃ)わんのごはんを口にほおばると、ゴクリとかまずにのみこみました。 
  「どう? ほねはとれたかい?」 
   おかみさんが言(い)いましたが、たいさくは、首(くび)を横(よこ)に振(ふ)って、 
  「いいや、まだとれない」 
   そこでおかみさんは、またお茶(ちゃ)わんに、ごはんを入れてきました。 
   たいさくは首(くび)をかしげながら、そのごはんをのみこんだり、かんだりしました。 
   何(なん)ばいもおかわりしているうちに、やっと、おなかがいっぱいになりました。 
   そのとたん、たいさくさんが言(い)いました。 
  「とれた、とれた。いや、すまんかったのう」 
   たいさくは、ニコニコしてお礼(れい)を言(い)うと、 
  「いやあ、食(く)った食(く)った。ただのごはんは、うまいなあ」 
  と、おなかをさすりながら、山へもどって行(い)ったのです。 
      おしまい 
        
       
         
         
        
      
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