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        5年生の日本民話 
          
          
         
皿々雪(さらさらゆき) 
石川県の民話 
      
       むかしむかし、あるところに、実子(じっし)と継子(ままこ)の姉妹がいました。 
   実子のほうは毎日、きれいに着飾(きかざ)って遊んでばかりいました。 
   でも継子(ままこ)の方は、ろくに食べさせてもらえず、きたない身なりで毎日仕事ばかりさせられていました。 
   ある冬の、寒い日の事です。  
   継子(ままこ)は川で、ダイコンを洗(あら)っていました。 
   川の水は冷たく、手が赤くはれあがるほどのつらさです。  
   その時、お殿(との)さまが通りかかって、継子(ままこ)に声をかけました。 
  「おお、娘(むすめ)。この寒いのによくがんばっておるのう。今日、庄屋(しょうや)の家に村の者をよんで歌会(うたかい)をするが、お前もきてみてはどうじゃ?」 
   継子(ままこ)は、歌などよんだことがありません。 
   こまってしまいましたが、せっかくお殿(との)さまが声をかけてくれたので、しかたなく庄屋(しょうや)の家に行きました。 
   さて、いよいよ歌よみがはじまりました。  
   大きな盤(ばん)の上に置いた皿の中に、たくさんの塩(しお)をもり、その中に松をうえたものを題にして、歌をよむことになりました。 
   一番最初に、実子が歌をよみました。  
  ♪盤(ばん)の上に皿がある 
  ♪皿の上に塩(しお)がある 
  ♪塩(しお)の上に松がある 
   つまらない歌なので、お殿(との)さまは気にもとめませんでした。 
   しばらくして、継子(ままこ)が歌をよみました。 
  ♪ばんさらや 
  ♪やさらの上に雪降(ふ)って 
  ♪雪を根として育つ松かや 
   お殿(との)さまはその歌が大変気に入って、継子(ままこ)をいい歌よみにしてやろうと、お城(しろ)へ連れて帰りました。 
   その後、継子(ままこ)は出世して、しあわせになったという事です。 
      おしまい         
         
        
       
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