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1ねんせいのにほんみんわ
とけてしまった ゆきんこ
あおもりけん の みんわ
むかしむかし、 ある ゆきぐにに、 おじいさんと おばあさんが いました。
ふたりには こどもが いなかったので、 おみやさんに おまいりして、
「なんとか、 わしらにも こどもを さずけてください」
と、 おねがい したのです。
すると、 ふたりの ゆめのなかに かみさまが あらわれて いいました。
「そなたたちの ねがいを ききいれよう。 おんなのこを さずけるから、 ゆきで にんぎょうを つくるがよい」
つぎのあさ、 おじいさんと おばあさんは おおよろこびで にわへ でると、 さっそく ゆきで にんぎょうを つくりました。
あたまは おかっぱ(→まえがみを きりさげ、うしろがみを えりもとで きりそろえた、 しょうじょむきの かみがた)で、 めが クリクリと おおきな、 とても かわいい にんぎょうです。
「よし、 かわいい にんぎょうが できた。 こんなむすめが、 ほんとうに いてくれたらなあ」
「そうですね。 ゆきにんぎょうでなく、 ほんとうの むすめだったら」
ふたりが ゆきにんぎょうを ながめていると、 にんぎょうが スーッと きえて、 そのかわりに ゆきにんぎょう そっくりの、 かわいいおんなのこが あらわれたのです。
おんなのこは ふたりをみて、 ニッコリと わらいました。
「おおっ、 ほんとうの おんなのこだ。 かみさまが ねがいを かなえてくれたんじゃ」
「ありがたい、 ありがたい」
おじいさんと おばあさんは おんなのこを だきかかえるようにして、 いえに つれていきました。
みれば みるほど かわいく、 それに こころのやさしい おんなのこで、 おじいさんと おばあさんを、
「おとうさん、 おかあさん」
と、 よんで くれるのです。
ふたりは このおんなのこに ゆきんこと いうなまえを つけて、 それは それは たいせつに そだてました。
ところが どういうわけか、 おんなのこは あたたかいのが だいきらいで、 おじいさんや おばあさんが いろり(→ちほうの みんか などで、 ゆかを しかくに きりぬいてつくった だんぼうのためのもの)に あたれと いっても、
「おら、 さむいところが ええ。 あついところは いやじゃ」
と、 いうのです。
それに ごはんも みそしるも、 つめたくなってからでないと たべません。
それでも、 ゆきんこは かぜひとつ ひかないので、 ふたりは、
「ほんに ゆきんこは、 なまえのように げんきなこじゃのう」
と、 いって、 あきれるやら かんしんするやら。
ところが あるとき、 きんじょの こどもたちが いっしょにあそぼうと、 ゆきんこを さそいにきました。
ゆきんこは、 あそびにいくのを いやがりましたが、
「ゆきんこや、 いえにばかり いないで、 たまには みんなと あそんでおいで」
と、 おばあさんに いわれて、 しかたなく でかけました。
さて、 きんじょの こどもたちは、 ゆきんこを たきびの そばへ つれていきました。
あたたかいのが だいきらいな ゆきんこを、 みんなで からかってやろうと いうのです。
「ゆきんこ、 ひに あたれ」
「そうだ。 もっと ひのそばへ いけ」
こどもたちは いやがるゆきんこを つかんで、 たきびのそばへ おしつけました。
「いや! あついの はいや!」
いやがる ゆきんこの からだから、 こおりのように つめたいあせが ながれました。
そのとたん、 ジューッと いうおとがして、 ゆきんこは きえてしまいました。
「あっ、 ゆきんこが いなくなった」
こどもたちは ビックリして、 たきびを みつめましたが、 ちいさくなった たきびのうえに、 しろい ゆげが けむりのように たちのぼって いるだけです。
かわいそうに、 ゆきから うまれた ゆきんこは、 ひに とけてしまったのです。
おしまい
よくにた はなしが ロシアにも あります。 → ゆきむすめ
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