| 
      | 
     
        3年生の世界昔話(せかいむかしばなし) 
          
          
         
アイリーのかけぶとん 
フィンランドの昔話(むかしばなし) → フィンランドのせつめい 
      
       むかしむかしのお話です。 
   フィンランドの冬は一面(いちめん)の銀世界(ぎんせかい)で、今日も朝からずっと雪がふっています。 
   だんろのそばでは、アイリーが夫(おっと)のカールのために、いっしょうけんめいヒツジの毛で、あたたかなかけぶとんをこしらえていました。 
  「もうすぐカールのたんじょう日がくるわ。世界一(せかいいち)きれいで、あたたかなかけぶとんをつくってあげましょう」 
   やがて、かけぶとんができあがりました。  
   それを見て、近所(きんじょ)のおかみさんたちは、 
  「なんてきれいな、ふとんなんでしょう。こんなすてきなふとんをプレゼントしてもらえるなんて、カールは幸せ者(しあわせもの)だわ」 
  と、アイリーのつくったふとんをほめました。 
  「そうさ。おれはフィンランド一の幸せ者(しあわせもの)さ。おくさんはやさしいし、ふとんづくりの名人だしね」 
   カールは、プレゼントされたフカフカのかけぶとんの中に、顔をうずめていいました。  
   そしてカールは、かけぶとんをたんじょう日まで、たいせつにとっておくことにしました。  
   しかし、幸(しあわ)せなカールにも、なやみがありました。 
   それは、おくさんのアイリーが、あわてんぼうだということです。  
   神(かみ)さまは、アイリーにやさしさを、ほかの人よりもたくさん、あたえてくれました。 
   でも、やさしさをおおくしてくれた分だけ、あわてんぼうにしてしまったのです。  
   さて、カールのたんじょう日の夜がやってきました。  
   その日は、いつもよりさむかったので、カールはアイリーがつくってくれたふとんをかけて休みました。  
  「アイリー、おやすみ。今夜はこのふとんのおかげで、ゆっくり休むことができるよ」 
   アイリーは、カールの幸(しあわ)せそうな顔を見て、うれしくなりました。 
  「いっしょうけんめいに、つくったかいがあったわ。いい夢(ゆめ)をたくさん見てね、カール」 
   さて、カールが新しいふとんをかけ、それを耳のあたりまでひきあげた時でした。  
   カールの二本の足が、ニョッキリと、ふとんからはみ出してしまったのです。  
   よく朝、カールはアイリーにいいました。  
  「アイリー。あのかけぶとんだけど、ぼくが耳のそばまでかぶってねると、足がはみ出してしまうのさ。上のほうはじゅうぶんなんだが、下のほうがたりないようだ。なおしてくれるかい?」 
  「あら、たいへん。上のほうがじゅうぶんなのね。それならいい考えがあるわ。上のほうをきって、下のほうのたりない部分(ぶぶん)につぎたせばいいんだわ」 
   アイリーはさっそくハサミをもってきて、かけぶとんの上のほうをジョキジョキときりおとし、せっせと下のほうにつなげました。  
  「さあ、カール。これでもう、だいじょうぶ」 
  「ありがとう。やさしいアイリー」 
   夫 おっと)のカールは、幸(しあわ)せな気分でべットに入り、かけぶとんをかけました。 
   しかし、ふとんを耳のところまでひきあげると、  
  「おや? また足が出るぞ。これはいったい、どうなっているんだ?」 
   あくる朝、カールは残念(ざんねん)そうにいいました。 
  「アイリー、やっぱりだめだよ」 
   するとアイリーは、ふとんの上のほうを思いっきりたくさんきりおとし、下のほうにつなげてみたのです。  
   しかし、やっぱりだめでした。  
   こんなことを、何度(なんど)も何度(なんど)も、くり返(かえ)しましたが、何度(なんど)やっても同じでした。 
   さて、いつになったら、かけぶとんは完成(かんせい)するのでしょうかね。 
      おしまい         
         
         
        
       
     | 
      | 
     |