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        5年生の世界昔話 
          
          
         
ハメルンの笛吹(ふえふき) 
ドイツの昔話 → ドイツのせつめい 
      
       むかしむかし、ハメルンという町に、どこからかかぞえきれないほどのネズミがやってきて、町のあちこちに住みついてしまいました。 
   困(こま)った町の人たちはネズミとりをしかけたり、毒(どく)のおだんごをばらまいたりしましたが、ネズミはますますふえるばかりです。 
  「こうなったら、ネコやイヌをたよりにするしか、しかたがない」 
   そう考えて、どこの家でもネコやイヌを飼(か)うようになりました。  
   でもネコもイヌも、ネズミが多すぎて、ネズミをつかまえるどころか、ネズミたちに追いかけられるしまつです。  
   そんなある日、一人の男が町へやってきて、こんなことをいいました。  
  「ネズミは、このわたしが退治(たいじ)してさしあげましょう。ただしその代金として、金貨千枚(きんか1000まい)をちょうだいします」 
  「おお、願ってもない。千枚(1000まい)どころか、二千枚(2000まい)でもお払(はら)いします」 
  「けっこう。ではさっそく、とりかかるとしますかな」 
   男は外へ出ると、手にしていた笛(ふえ)をふきならしはじめました。  
   すると、あちこちの家からネズミたちが飛び出して、笛ふきの回りへ集まってきたではありませんか。  
   ネズミたちをしたがえた笛ふきは、笛をふきならしながら川のそばまでやってきました。  
  「どうするつもりだろう?」 
   町の人たちが見ていると、笛ふきは川の中へサブサブと入っていきました。  
   ネズミたちもあとをおって川へ飛びこむと、そのまま一匹(1ぴき)残らずおぼれ死んでしまいました。 
  「やった! やった!」 
  「さあ、お祝いだ!」 
   町の人たちは大喜びで、歌ったりおどったりしました。  
   そこへ、笛ふきがもどってきていいました。  
  「ごらんのように、ネズミは残らず退治(たいじ)してさしあげました。それでは、金貨千枚(きんか1000まい)をいただくとしましょうか」 
  「金貨千枚(きんか1000まい)だって?」 
   町の人たちは、しぶい顔をしました。  
  「たかがネズミくらいのことで、金貨(きんか)千枚(1000まい)とは高すぎるではないか。まあ、十枚(10まい)くらいは出してやるが」 
  「さては、約束をやぶるつもりですか。よろしい。それならこちらにも考えがある」 
   笛ふきは顔色を変えると、姿(すがた)を消してしまいました。 
  「・・・やれやれ。あきらめたか」 
   町の人たちは安心して、また歌ったり、おどったりです。  
   そのときどこかで、リュウリュウと笛の音がひびきはじめました。  
   笛ふきが、町の広場のまん中で笛をふきはじめたのです。  
   それといっしょに、あちらこちらの家から子どもたちが集まってきました。  
  「やや、子どもたちが笛ふきのあとを」 
   大あわてで追いかけていくと、山のふもとにあるほら穴(あな)のそばへやってきました。 
   笛ふきは笛をふきならしながら、ほら穴(あな)の奥(おく)へはいっていきます。 
  「わーい、ほら穴(あな)だ、ほら穴(あな)だ」 
   子どもたちも大喜びで、ほら穴(あな)の中へはいっていきました。 
  「おーい、待ってくれ、待ってくれ」 
  「わしらが悪かった。約束どおり金貨をはらうから、子どもたちを返してくれ」 
   町の人たちは、声をかぎりによびかけました。  
   でも、もうおそく、岩が一人でに動きはじめたかと思うと、ほら穴(あな)の入り口をピッタリとふさいでしまいました。 
   こうしてハメルンは、子どもの一人もいない町となってしまったのです。  
      おしまい         
         
        
       
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