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        6年生の世界昔話 
          
          
         
青ひげ 
ペローの童話 → ペローの童話のせつめい 
       むかしむかし、大きなおやしきに、ひとりの男の人がすんでいました。 
   この人は、お屋敷(やしき)のくらの中にお金や宝石(ほうせき)をたくさんもち、いろいろなところに別荘(べっそう)をもっている大金持ちです。 
   でも、青いひげがモジャモジャとはえた、とてもこわい顔をしているので、人々から『青ひげ』とよばれてきらわれていました。  
   そしてもうひとつ、青ひげには、ヘんなうわさがありました。  
   それは、今までに六人もおくさんをもらったのに、みんなどこかへいなくなってしまうという、うわさでした。  
   ある時、青ひげは近くにすむ美しい娘(むすめ)を、お嫁(よめ)さんにしたいと考えました。 
   そこで、娘(むすめ)とそのお母さんや兄弟たち、それに友だちもよんで、おいしいごちそうをしてもてなしました。 
   みんなは別荘(べっそう)にとまり、何日も何日も、散歩やダンスやつりをして、楽しくすごしました。 
   そのあいだ、青ひげはいっしょうけんめいニコニコと、やさしい顔をしていました。  
   しばらくすると、娘(むすめ)は青ひげのお嫁(よめ)さんになってもいいと言いました。 
   青ひげは大喜びで、すぐに結婚式(けっこんしき)をあげたのです。 
   ある日、青ひげはおくさんをよんでいいました。  
  「わたしは、明日から大切な用があって旅に出かけることになった。だから、あなたにやしきのカギをあずけていこう」 
   そういって、カギのたくさんついているたばをとり出しました。  
  「これは、家具の入っているくらのカギ。これは、金や銀の食器の棚(たな)のカギ。これは、宝石箱(ほうせきばこ)のカギ。わたしのるすのあいだ、たいくつだったら、このやしきにいくら友だちをよんでもかまわないし、どの部屋に入ってもかまわないよ。ただし・・・」 
   青ひげは急にこわい目をして、おくさんをジロリと見ました。  
  「この小さなカギだけは、使わないように」 
  「はい。でも、これはいったいどこのカギなのですか?」 
   おくさんがたずねると、青ひげはこたえました。  
  「ろうかのつきあたりの小さな部屋のカギだ。いいな。その部屋には、ぜったいに入ってはいけないぞ」 
  「わかりました」 
   こうして青ひげは、つぎの日、出かけていきました。  
   おくさんは、はじめのうちは友だちをよんで楽しくすごしていましたが、そのうち、たいくつになってきました。  
   すると、あのいけないといわれた部屋に入りたくて、たまらなくなりました。  
  「だめ、いけないわ。 
   ・・・いけないかしら。  
   ・・・少しだけなら。  
   ・・・大丈夫(だいじょうぶ)よね。 
   ・・・大丈夫(だいじょうぶ)よ」 
   おくさんは、小さなカギで小さな部屋のドアを開けてしまいました。  
  「あっ!」 
   中を見たおくさんは、ドアのところに立ったまま、ガタガタとふるえだしました。  
   部屋のかべには、たくさんの女の人の死体がぶらさがり、ゆかには血がベッタリと、こびりついていたのです。  
   それはみんな、青ひげのまえのおくさんたちでした。  
  「ただいま」 
   そこへ、青ひげが帰ってきたのです。  
   おくさんはビックリして、カギをゆかに落としてしまいました。  
   おくさんはあわててカギをひろうと、ドアにカギをかけて青ひげのいる玄関(げんかん)にいきました。 
  「お、お、おかえりなさい」 
   おくさんを見た青ひげは、ニッコリ笑いました。  
  「やあ、すっかり、おそくなってしまったね。・・・おや、どうしたんだい? そんなにふるえて」 
  「い、いえ、べ、べつに」 
   ガタガタとふるえるおくさんを見た青ひげは、急にこわい顔になっていいました。  
  「わたしていたカギを、出してもらおう」 
  「はっ、はい」 
   おくさんがふるえる手で差し出したカギを見た青ひげは、キッ! と、おくさんをにらみつけました。  
   カギには、あの部屋で落としたときについた血が付いていたのです。  
  「・・・いけないといったのに、やっぱり見たんだな」 
  「ゆるしてください、ゆるしてください」 
   おくさんは青ひげのまえにひざまずいて、ないてあやまりました。  
   でも、青ひげはゆるしてくれません。  
  「おまえは悪い女だ。・・・殺してやる!」 
  「ゆるしてください、ゆるしてください」 
  「・・・では、お祈(いの)りの時間だけまってやろう」 
  「ああ、神さま・・・」 
   おくさんは、必死で神さまにお祈(いの)りします。 
   青ひげは刀をぬくと、お祈(いの)りをしているおくさんの首をきろうとしました。 
   ちょうどその時、玄関(げんかん)のドアがひらいて、ふたりの男の人が入ってきました。 
   おくさんのふたりのお兄さんたちが、運よく妹をたずねてきたのです。  
   ふたりは妹が首をきられそうなのをしって、すぐに青ひげにとびかかって、殺してしまいました。  
   死んだ青ひげには、ほかに、しんせきがいなかったので、お屋敷(やしき)や別荘(べっそう)、お金や宝石(ほうせき)は、ぜんぶおくさんのものになりました。 
   おくさんは、それからはずっと幸せにくらしたということです。  
      おしまい         
         
        
       
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