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ワニの贈り物

ワニ の おくりもの

(フィリピンのむかしばなし)

おりがみをつくろう ( おりがみくらぶ より)
ワニの折り紙わに   平面ワニの折り紙わにA

♪にほんごのろうどく
TIME 5:34   ろうどく 『Web団 零点』



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 むかしむかし、あるむら に、とても やさしくて こもりうた の じょうず な おばあさん が すんで いました。

 あるひ、おばあさん が かわ へ いく と、ワニ が こえ を かけてきました。

「おばあさん、たのみ が あるんだよ。ないて ばかり いる うち の こ を、うまく ねかしつけて もらえないかね?」

「それなら、まかしといて!」

 おばあさん は ワニ の せなか に のって、むこうぎし ヘ わたりました。

 なるほど、しげみ の なか では こワニ が、わんわん と ないています。

 おばあさん は、くさ を かきわけて かけよりました。

「よしよし、かわいい ぼうや ね。あんしん おし。わたし が きた から もう だいじょうぶ」

 おばあさん は こワニ の あたま を なでて、さっそく こもりうた を うたい はじめました。

♪バユーバイ バユバイ。

♪こワニちゃん。

♪おねむりなさい。

♪かわいい こワニちゃん。

 おばあさん の うた を きく と、こワニ は ピタリ と なきやみました。

 それから、

「フワーーッ。ムニャムニャ・・・」

と、おおきな あくび を して、かわいい ねいき を たてはじめました。

 でも おばあさん は、まだ しばらく うたいつづけました。

 やがて こワニ が、ほんとう に グッスリ と ねむったのを たしかめて たちあがりました。

「さて、そろそろ かえると しましょうか」

 すると おやワニ が、さかな の いっぱい はいった カゴ を もってきてくれました。

「ありがとう、おばあさん。おれい に、これ を もってかえって」

「これは、ありがたいわ。わたし は さかな が だいすき なのよ」

 おばあさん は おおよろこび で、また ワニ の せなか に のり、かわ を わたって かえりました。

 おばあさん が いえ へ つく と、となり の おばあさん が やってきました。

「おや、おいしそうな さかな だねえ。いったい どこ で てにいれたの?」

「かわ で、ワニ に もらったのよ」

 おばあさん は、これまで の こと を ぜんぶ はなしました。

「へえー、それじゃあ、わたし も いってみよう」

 となり の おばあさん は かわ ヘ いく と ワニ に むかって いいました。

「さあ、おまえ の こ を ねかせ に きてやったよ」

「いえ、こども は よくねむっているから、けっこうですよ」

「ふん! こども なんて、じき に め を さます に きまってるよ。さあ、わたし を せなか に のせて つれておいき!」

 むりやり むこうぎし へ わたった おばあさん は、こワニ を みて かお を しかめました。

「うへー! なんてまあ、きたなくて、くさいんだ!」

 そして、ねていた こワニ を あし で けとばしました。

 こワニ は ビックリ して、め を さます と なきだしました。

「ほら、やっぱり ないた だろう」

 となり の おばあさん は、よこ で ハラハラ しながら みている おやワニ に いいました。

「なに を グズグズ しているんだい! はやく さかな を とって おいでよ。そのあいだ に、こども を ねかしつけて おくからさ」

 そして、となり の おばあさん は うたいはじめました。

♪バユーバイ バユバイ。

♪さっさ と おねむり きたない こ。

♪はやく おねむり くさい こ よ。

 こワニ は ねむる どころか、ビービー と おおなき です。

 おやワニ は おこって、カゴ を さしだしながら いいました。

「これ を やるから、もう かえって おくれ!」

 となり の おばあさん は、カゴ を うけとる と ニヤニヤ わらいながら、

「そうかい。それなら、また かわ を わたして おくれ」

と、いって、また ワニ の せなか に またがって かえって いきました。

 いえ へ つく と、まど や と を ぜんぶ しめました。

 だいじな みやげもの を、だれにも みられたく なかったからです。

 そして、いよいよ カゴ を ひらいた とたん、

「ギャーッ!」

 おばあさん は、ひめい を あげて きぜつしました。

 カゴ の なか に おおきな ヘビ が はいっていて、シュルシュル と、おばあさん の からだ に まきついた からです。

おしまい

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