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福娘童話集 > 絵本紙芝居(アニメかみしばい) 魔法使いの弟子(4k HD)

魔法使いの弟子(4k HD)
アニメサイズ Max 2880×2160 字幕「日本語」「英語」

イラスト myi   ブログ sorairoiro

魔法使いの弟子(4k HD)
ドイツの昔話 → ドイツの国情報

イラスト版  えほん版

 むかしむかし、魔法使いとその弟子が、二人で住んでいました。

 ある日の事、魔法使いは出かける時に、弟子に言いつけました。
「風呂の水を、いっぱいにしておくように」
 魔法使いの姿が見えなくなると、弟子はソファーにゴロンと横になりました。
「あーあ、川からバケツで水をくんで来て、風呂をいっぱいにしておくなんて面倒だなあ。
 毎日毎日仕事を山ほど言いつけられて、いやになっちゃうよ。
 ・・・そうだ!」
 弟子は、ある名案をひらめきました。
「そうそう、ぼくは魔法使いの弟子なんだ。こういう時こそ、覚えた魔法を使ってみなきゃ」
 弟子はソファーから飛び起きると、ほうきにむかって魔法の言葉で命令しました。
「ほうきよ、ほうき。川の水をバケツでくんで来い。そしてその水を、風呂に入れるのだ!」
 するとほうきから小さな手が出てきて、両手に二つのバケツをつかむと、ヒョッコリ、ヒョッコリと歩き出したのです。
「よし、うまくいったぞ! これでぼくも一人前の魔法使いだ!」
 弟子は、大喜びです。
 魔法のほうきはバケツをさげて、川へ走って行きます。
 そして川の水をバケツにくむと、ヒョッコリ、ヒョッコリともどって来るではありませんか。
 弟子は、うれしくてたまりません。
 魔法のほうきは、くんできた水を風呂にザザーッと入れると、また家を出て川へ走って行きます。
「ああ、らくちんだったら、らくちんだ。魔法を使えば、らくちんだ!」
 弟子はバケツを持って何度も行ったり来たりする魔法のほうきに、手拍子(てびょうし)をとりながらおどりました。
 風呂の水は、あっという間にいっぱいになりました。
「さあ、終わったぞ」
 弟子はニッコリ笑って、ソファーでまた昼寝をしようと思いました。
 ところが、魔法のほうきは止まりません。
 風呂の水はいっぱいで、もうあふれてしまうというのに、バケツに水をくんで来ては風呂に入れるのです。
 風呂からあふれた水が、廊下(ろうか)に流れ出ました。
「ああ、やめろ! もうおしまいだってば!」
 弟子が命令しますが、ほうきは言うことを聞きません。
 もう家の一階は、プールのように水がたまっていました。
「このままじゃあ、怒られてしまうよ。・・・えーと、魔法をとく言葉はなんだっけ? ・・・えーと、えーと」
 どうしても、魔法をとく言葉が思い出せません。
「ええーい、こうなれば、ほうきをこわしてやる!」
 弟子はオノを持って来ると、魔法のほうきをまっぷたつに切りました。
 そのとたん魔法のほうきは二つにふえて、今までの二倍の水を運んでくるのです。
「えい! えい! はやくとまれ!」
 弟子がオノでほうきを切るたびに、ほうきはドンドンふえていって、ドンドン水を運んできます。
「あーん、これじゃ、おぼれちゃうよー」
 弟子は二階へ逃げようと、階段をかけ登りました。
 その時、魔法使いが帰って来ました。
「なんだこれは! さては、弟子のしわざだな」
 ビックリした魔法使いは、あわてて魔法の言葉をとなえました。
「ほうきよ、止まれ! 水よ、消えろ!」
 そのとたん、風呂からあふれた水はパッとなくなり、ほうきも元のほうきにもどりました。
「あの、その、・・・ごめんなさい」
 階段の手すりにしがみついていた弟子は、魔法使いにあやまりました。
 魔法使いは弟子の頭をコツンとたたくと、大きなため息をついていいました。
「やれやれ、風呂の水くみをいやがるようじゃ、一人前の魔法使いにはなれないぞ」

おしまい

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