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1月13日のイソップ童話
  
  
  
人間とゼウス
    いいつたえでは、むかしむかし神さまは、まず動物を先につくって、ある動物には強い力を、ある動物にははやい足を、ある動物には空を飛ぶつばさをあたえましたが、さいごにつくった人間は、はだかのままでした。
    それで人間は、ゼウス(→詳細)の神にいいました。
  「神さま、わたしだけは、なんにもめぐんでいただけませんでしたね」
  するとゼウスは、
  「おまえは気がついていないが、わたしはおまえに、なによりもりっぱな贈りものをさずけたのだよ。それは理性という、神がみのあいだでも、人間のあいだでも、とても大きな力になるものだ。理性はどんなに強いものよりも強く、どんなに足のはやいものよりもすばやいものなのだ」
  と、いいました。
    そこで人間は、神さまの贈りもののことがよくわかったので、神をたたえ、感謝しながら引き下がりました。
  
    人間はみな、神のめぐみによって理性をさずけられています。
    それなのに、この大きなめぐみをさとらずに、感情も理性も持たない動物をうらやましがる人が、ときどきいます。
おしまい