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8月5日のイソップ童話
  
  
  
オオカミとヒツジ
    オオカミたちが、ヒツジの群れをおそおうと、ねらっていました。
    しかし、イヌが番をしているので、思うようになりません。
    そこで、ある作戦を思いつきました。
    オオカミは、代表をヒツジのところへおくって、
  「イヌどもを、わたしたちにひきわたして下さい。あのにくらしいイヌたちのために、オオカミとヒツジが、かたきどうしのようになっているのですから。イヌをこちらにひきわたしてくれれば、あなたがたとわたしたちは、平和に、なかよくくらせるようになるでしょう」
  と、提案したのです。
    ヒツジたちは、オオカミのわるだくみが見ぬけなかったので、イヌをひきわたしました。
    オオカミはまずイヌをやっつけてから、まもってくれるもののなくなったヒツジを、やすやすと食い殺しました。
  
    国と国とのあいだでも、同じことです。
    自分たちの指導者を、やすやすと敵にひきわたす国民は、そんなことをすれば、たちまち敵に征服されてしまうということが、わからない人たちです。
おしまい