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9月7日のイソップ童話
  
  
  
牛飼いとライオン
    ウシの群れに草を食べさせていた牛飼いが、子牛が一頭いなくなったのに気がつきました。
    近くをひとまわりしてみましたが、子牛はみつかりません。
    そこで、牛飼いはゼウス(→詳細)に、
  「ゼウスさま、どうか子牛どろぽうをみつけさせて下さい。この願いがかなったら子ヤギを一頭あなたにささげます」
  と、約束しました。
    ところが、森の中にはいってみますと、なんとライオンが子牛をかみ殺しているではありませんか。
    牛飼いはブルブルとふるえあがって、両手を天にさしのべてさけびました。
  「おお、ゼウスの神さま、さっきは、子牛どろぼうがみつかったら、子ヤギをささげる、といいましたが、こんどはウシを一頭ささげますから、どうかわたしがウシどろぼうにつかまらないようにして下さい」
  
    不幸にあったとき、うろたえて、なんとか助かる方法はないかとさがしまわりながら、いざその方法がみつかると、逃げごしになる人がいます。
    この話は、そういう人のことをいっています。
おしまい