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1月19日の小話
いいそうな顔
   夜のすずみだい(すずむためにつかう、こしかけ)で、パチリパチリと碁(ご)をうっていますと、横から見物している男が、さかんに口を出します。
  「おい、しばらくだまっていろ」
  と、碁をうっている者はおこりますが、すぐに口だししてきます。
   そうこうしているうちに、ここ一番というときになりました。
   すると、碁をうっているひとが、いきなり、見物の男の頭をゴツンとなぐりました。
  「なにをするんだい」
「どうも、何かいいそうな顔つきだから、いわれぬ前になぐっておくのさ」
おしまい