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4月21日の小話
いじっぱり
   ある、あわてん坊な男がいました。
   お風呂に入るときに、うっかりして、ずきんとたびをぬがずに、入ってしまいました。
   それをみていたひとが、
  「これ、そこのひと。風呂に入るなら、たびをぬぎなされ」
  と、注意しますと、この男、いまさらぬぐのも、はずかしくて、
  「いや、これは、すべりどめだ」
  と、言い返しました。
  「それなら、そのずきんは、何のためにかぶっているんだ」
  と、ききますと、
「こいつは、湯ぶねの上から水がおちるので、かぶっているのさ」
おしまい