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7月27日の小話
カニのふんどし
   山おくの村に住んでいるむこさんが、嫁さんの家によばれました。
  「とおいところをはるばる、ようこられた」
  と、嫁さんの家では、ごちそうをならべました。
  「うちのむこさんを、村のひとにもみてもらおう」
   おおぜいのおきゃくもよびました。
   ごちそうには、ゆでたカニも出てきました。
   むこさんはふだん、山おくにくらしているので、カニなど食べたことがありません。
  「???・・・これは、どのようにたべるもんだべ?」
   となりのひとにきくと、
  「カニを食べるときは、まず、ふんどし(カニのおなかのビラビラの部分)をはずして、それから、おいしい身をつつく」
  「なるほど。まず、ふんどしをはずしてと」
 むこさん、カニのふんどしをはずさず、自分のふんどしをはずしてから食べ始め、はじをかいてしまいました。
おしまい