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7月30日の小話

かいだんのおりかた
   むかし、山おくの村の男たちが、さそいあって、京のみやこへ出かけました。
   宿(→詳細)をさがして、わらじをぬぐと、二かいのざしきにとおされました。
   男たちは、これまで、かいだんというものにあがったことがありません。
   なんとか二かいまであがったものの、おりかたがわかりません。
  「たったまま、うしろむきにおりるのだろう」
  「いや、ころぶとたいへんだから、すわったまま、前を向いておりるのではないか?」
  「なに、手すりにまたがって、すべりおりるのが、りくつにかなっている」
   ワイワイやっていると、宿のおかみさんが、「お風呂にどうぞ」とよびました。
  「よんでいるが、どうしたらいいのだろう」
   男たちが考えていると、宿の飼い猫が、かいだんをおりていきます。
  「ああっ、ああしておりるのか」
 男たちはネコのまねをして、はいつくばりながら、おりていきました。
おしまい