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9月4日の小話
生まれかわる
   むかしむかし、お坊さんが、山で狩人(かりうど→猟師)に出会いました。
   狩人が、殺したけものをぶらさげているのをみて、お坊さんは、お説教(せっきょう)をはじめました。
  「これ、狩人。おまえは、生き物の命を取ってばかりいると、あの世で、殺したけものになってしまうぞ。悪いことはいわぬ、殺生(せっしょう→生き物を殺すこと)はやめよ」
  と、いうと、狩人は、
  「そんなら、この世でキツネを殺せば、やっぱりあの世で、キツネになりますのか」
  「いかにも」
   すると、狩人は、わんわんと泣いて、涙を流しながら、おそろしがりました。
   しばらく泣いていましたが、なにをおもったか、きゅうに鉄砲に玉をこめると、お坊さんめがけて、うとうとします。
   お坊さんは、びっくりして、
  「これ、なにをするのじゃ!」
  と、いうと狩人は、
「へい、お坊さんを殺しておいて、あの世で生まれかわるときに、坊さんに生まれかわりとう、ございます」
おしまい