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11月6日の小話
むごんくらべ
   近所の者が三人集まって、無言(むごん→しゃべらないこと)くらべをはじめました。
  「今夜の月がでるまでとしよう」
  と、きめて、おたがいに、だまり始めましたが、だんだんと、たいくつになってきました。
   ひとりがあくびをして、
  「あーーっ、ものをいわないのは、つらいものだ」
  と、いうと、ふたりめのひと、
  「これ、無言くらべなのに、ものをいうな。・・・あっ、しまった!」
  と、いって、ふたりとも、無言くらべをやぶってしまいました。
   のこったもうひとりは、これをきき、
  「月が出るまで、まだまだ時間があるというのに、だめだなあ。・・・あっ、しまった!」
と、いって、三人ともだめになってしまいました。
おしまい