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5月28日の日本民話
うそ五ろうとはねおうぎ
福島県の民話
むかしむかし、岩代の国(いわしろのくに→福島県)のあるところに、なまけものでうそつきの、「うそたれうそ五ろう」という男が住んでいました。
あまりひどいうそをつくので、ある日、怒った村人たちにつかまえられて、山の高い木の枝に、さかさづりにされてしまいました。
するとそこにテングが、テングの宝物の「はねおうぎ」をパタパタとあおぎながら空を飛んできて、
「いったい、何をしておるんじゃ?」
と、たずねたのです。
「さかさまになって見るけしきはいいぞ。どうじゃ、テングさまもやってみんかね?」
「おもしろそうじゃな。しかし、どうやってぶらさがるんじゃ?」
「おらが教えてやるから、ちょっと、おろしてくだされ」
うそ五ろうはテングをうまくだましてテングを木のえだにさかさづりにすると、とりあげた「はねおうぎ」をパタパタとあおいで、京の都まで飛んでいきました。
都を歩いていると、りっぱな屋敷の前に、
《娘の病気をなおしたものは、むこにむかえる》
と、立て札がありました。
うそ五ろうは屋敷の人に、
「娘さんは、どんな病気だね?」
と、たずねました。
すると屋敷の人は、声をひそめながら答えました。
「それがな、おならの止まらない『尻なり病』です」
「よしきた。おらがなおしてやる」
うそ五ろうは娘の座敷に入ると、はねおうぎで、娘のおしりをあおぎました。
するとおならはピタリとやんで、娘も屋敷の人たちも大喜びです。
そして、家の主人に、
「ありがとうござしました。ぜひとも、娘のむこになってください」
と、たのまれました。
「それは願ってもない話しだが、ちょっくら待ってください」
うそ五ろうははねおうぎをパタパタとあおいで、テングをさかさづりにしている山へ飛んでかえり、
「テングさま、すまなかった。おわびのしるしに都の酒を持ってきた。たんと飲んでください」
と、テングを木のえだからおろしました。
うそ五ろうはそれからあらためて都にのぼって、とてもよいむこになったという事です。
おしまい