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4月22日の世界の昔話
  
  
  
  アラジンのランプ
  千夜一夜物語 → アラビアンナイトの詳細
 むかしむかし、アラジンという若者がいました。
   あるときアラジンのところに、あやしい男がやってきていいました。
  「ついてこい。いい所ヘ連れていってやる」
   男は、悪い魔法使いです。
   町から遠く離れた所までくると、男は呪文(じゅもん)をとなえました。
   とたんに、地面に大きな穴があいたのです。
  「穴の奥にある、古いランプを持ってくるのだ」
   魔法使いはアラジンの指に、大きな指輪(ゆびわ)をはめました。
  「こわがることはない。これはお守りだ」
   アラジンが穴の中へおりていくと美しい庭があり、木には色とりどりの実がなっています。
   赤い木の実や、青い木の実や、白い木の実。
   よく見ると、それらは全部宝石で、赤い木の実はルビー、青い木の実はサファイア、白い木の実はダイヤモンドです。
   魔法使いにたのまれたランプは、かんたんに見つかりました。
   アラジンがもどってくると、魔法使いはソワソワしながら待っていました。
  「よし、ランプをよこせ。早くしろ!」
   こわくなったアラジンは、思わずあとずさりしました。
   すると、怒った魔法使いは出口をふさいでしまいました。
  「しまった、どうしよう」
   アラジンは思わず、お守りの指輪をこすりました。
   そのとたん、指輪が太陽のようにかがやいて、中から大男が現れたのです。
  「わたしは指輪の魔神(まじん)です。ご主人さまが指輪をこすってくれたので現れました。ご用はなんでしょうか?」
  「ああ、家に帰りたいんだ」
  「おやすいごようです」
   そのとたん、アラジンは家にもどっており、アラジンに気がついたお母さんがいいました。
  「おや、古いランプなんか持って、どうしたのだい?」
  「あっ、これかい。ひろったんだよ。・・・うん? なにかかいてあるな」
   アラジンが服のすそでランプをみがくと、ランプからもくもくとけむりが出てきて、目の前に大男が現れました。
  「わたしはランプの魔神です。どんなご用でもいたします」
  「それなら、食べ物を持ってきておくれ」
  「はい、かしこまりました」
   ランプの魔神は、テーブルの上にごちそうを山盛りにしてくれました。
   そのおいしいことといったらありません。
   たとえ王さまでも、これだけのごちそうは食べたことがないでしょう。
   ある日、アラジンは町でお姫さまを見かけました。
   ひと目でそのお姫さまを好きになったアラジンは、そのお姫さまと結婚したいと思いました。
  「お母さん、これを持ってお城にいってよ」
   アラジンは、穴の奥から持ち帰った宝石を出してきました。
   アラジンのお母さんが持ってきた宝石を見て、王さまはおどろいていいました。
  「これはすばらしい。だが、このような宝石を四十の皿に山盛りにして持ってこれるかな? それが出来れば姫をやろう」
   お母さんからそれを聞いたアラジンは、ランプの魔神をよび出しました。
  「宝石を山盛りにした四十の皿を出してくれ」
  「かしこまりました。ご主人さま」
   やがて宝石を山盛りにした四十のお皿の行列が、ご殿にやってきました。
   それが王さまのお気にめして、アラジンはお姫さまと結婚することができました。
   アラジンは親切でしたから、国じゅうの人から好かれました。
   けれども、あの魔法使いだけは、アラジンをにくんでいました。
   魔法使いはランプ売りに化けて、アラジンのご殿にやってきました。
   ちょうど、アラジンは留守です。
  「古いランプと新しいランプを、取りかえませんか?」
   なにも知らないお姫さまは、魔法のランプを渡してしまいました。
   魔法使いは、さっそくランプの魔神をよび出していいました。
  「姫を、遠い国に運んでいけ!」
   つぎの日、王さまはご殿もろともお姫さまが消えていたのでビックリ。
   アラジンはバツとして、首を切られることになりました。
  「お願いです。四十日ほど待ってください!」
   許しをもらったアラジンは、お姫さまをさがして歩き回りました。
   ある日、疲れはてて手を洗っていると、指輪の魔神が現れました。
   手を洗うときに、知らず知らずに指輪をこすっていたのです。
  「ご主人さま、およびですか」
  「おおそうだ! おまえのことをすっかり忘れていた。すぐに姫のところへ連れていっておくれ」
  「おやすいごようです」
   指輪の魔人は、すぐにアラジンをお姫さまのもとへ連れて行ってくれました。
   アラジンが現れると、お姫さまがかけ寄ってきていいました。
  「あなた。古いランプは、魔法使いのふところにありますわ」
  「そうか。では、魔法使いから取り返そう」
   アラジンは魔法使いに眠り薬を飲ませてランプを取り返すと、ランプをこすってランプの魔神をよび出しました。
  「眠っている間に、魔法使いを世界の果てへ追い出して、ぼくたちとご殿をもとの所に運んでおくれ」
  「かしこまりました。ご主人さま」
   ランプの魔神に運ばれたご殿は、たちまちもとの所にもどりました。
   こうしてアラジンは、お姫さまといっしょにしあわせにくらしたのです。
   そして世界の果てへ追い出された魔法使いは、二度と戻ってくることはありませんでした。
おしまい