
  福娘童話集 > きょうの世界昔話 > 12月の世界昔話 > トラの前をあるいたキツネ
12月9日の世界の昔話
  
  
  
  トラの前をあるいたキツネ
  中国の昔話 → 中国の国情報
 むかしむかし、みちでキツネがトラにであいました。
   トラは足のツメでキツネをつかまえると、大きな口をあけてたべようとしました。
  「ちょっとまってください、トラさん」
  と、キツネがいいました。
  「あなたはじぶんだけがつよくて、どうぶつたちの王さまだとおもっているのでしょう。でも、あなたはまだ、わたしにはかないませんよ」
  「なに? おまえがおれよりつよいもんか!」
  「いいえ、うそだとおもうなら、わたしといっしょにあるいていってごらんなさい。人間たちがわたしを見て、もしこわがらなかったら、そのときはわたしをたべてもいいですよ」
  「よし、では、いっしょにいってみよう」
   それでキツネはトラをつれて、にぎやかな町へいきました。
   すると町をあるいていた人間たちは、みんなキツネのうしろをあるいているトラをとおくから見ただけで、こわがってにげていってしまいました。
   それでキツネは、
  「ねえ、どうですトラさん、人間たちはわたしを見て、にげていったでしょ」
  と、いばっていいました。
  (ほんとうだ。あの人間がこんなにおそれるとは、キツネはそうとうつよいやつにちがいない)
   トラはキツネがこわくなって、しっぽをまいて逃げていってしまいました。
おしまい