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12月15日の世界の昔話
  
  
  
  3匹のヤギのガラガラドン
  ノルウェーの昔話 → ノルウェーの国情報
 むかしむかし、あるところに、三匹のヤギがいました。
   一番小さいヤギは、ガラガラドン、という名まえでした。
   中くらいのヤギは、ガラガラドン、という名まえでした。
   とっても大きいヤギは、ガラガラドン、という名まえでした。
   三匹とも、ガラガラドン、という名まえだったのです。
   さてある日のこと、三匹のガラガラドンは、山の向こうへ草を食べにいくことにしました。
   山の向こうの草は、やわらかくておいしくて、食ベたらきっと元気で丈夫(じょうぶ)になれるでしょう。
   三匹のガラガラドンが歩いていくと、途中に深い谷があって、橋がかかっていました。
  「小さい橋だなあ。三匹いっしょには渡れないや」
   そこで最初に、小さいヤギのガラガラドンが、コトコト、コトコト、橋をわたりました。
   橋のまん中までくると、深い谷底から、
  「こらー! わしの橋をだまって通るのは、だれだ!」
  と、いう声がして、恐ろしい魔物が出てきました。
  「ぼくです。小さいヤギのガラガラドンです。山の向こうへ草を食べにいくんです」
  「小さいヤギのガラガラドンだと? だまってわしの橋を通ったからには、草なんか食ベにいかれないぞ。おれさまがおまえを食べるんだからな!」
  「まっ、まってください。ぼくはこんなに小さいんです。後ろから、もっと大きいヤギがきます。どうせ食べるんなら、大きいヤギのほうがおいしいですよ」
   小さいヤギのガラガラドンは、小さい声でいいました。
  「そうか、じゃあ、つぎにくるやつを待つとしよう。さっさといっちまえ」
   やがて、中くらいのヤギのガラガラドンが、ゴトゴト、ゴトゴト、橋をわたってきます。
   橋のまん中までくると、
  「こらー! だまってわしの橋を通るやつは、だれだ!」
  と、魔物が出てきました。
  「ぼくです。中くらいのヤギのガラガラドンです。山の向こうへ草を食べにいくんです」
  「ざんねんだな、中くらいのヤギのガラガラドン。おまえが草を食べる前に、わしがおまえを食べるんだ」
   魔物は、大きな口をパクッとあけました。
  「まってください。ぼくのあとから、もっと大きいヤギがきます。どうせ食ベるんなら、大きいほうがおいしいですよ」
   中くらいのヤギのガラガラドンが、中くらいの声でいいました。
  「そうか、じゃあ、まってるとしよう。さっさといっちまえ」
   やがて大きいヤギのガラガラドンが、ドシドシ、ドシドシ、橋をわたってきました。
  「こらー! だまってわしの橋を通るのは、だれだ!」
   魔物が出てきました。
  「ぼくだ。大きいヤギのガラガラドンだ」
  「ようし、食ベてやるから覚悟しろ」
   魔物は、大きな口をパクッとあけました。
  「ふん、食べられるもんか。ぼくは大きいヤギのガラガラドンで、りっぱなツノもはえてるし、強いツメも持ってるぞ。さあこい!」
   大きいヤギのガラガラドンは、魔物にむかってつきすすみました。
   ドシーン!
   キラキラ光る二本のツノが、魔物の目をさしました。
  「ウギャーーーー!」
   どんなに強い魔物でも、目をつぶされてはかないません。
   大きいヤギのガラガラドンは、ゆうゆうと橋をわたりました。
   そうして、山の向こうの草原に着いた三匹のガラガラドンは、おいしい草をたくさん食べることができました。
おしまい