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ねずみのお話し 第 2 話
ネコとネズミ
むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
ある日の事、おじいさんが山の畑で草むしりをしていると、草むらに一匹の子ネコがいました。
「おおっ、可哀想に。腹を空かせとるようじゃな。どれ、一緒に家に帰ろうな」
山で拾った子ネコを、おじいさんとおばあさんはまるで自分の子どものように大事に育てました。
ある日の事、納屋(なや→物置)の中で何やら変な音がするのに気がついたネコが、納屋へ入っていきました。
♪それやれ、みがけやみがけ、ネズミのお宝。
♪つゆのしっけをふきとばせ。
♪それやれ、みがけやみがけ、ネズミのお宝。
♪みがいてみがいて、ピッカピカ。
納屋の床にある小さな穴の中から、ネズミたちの歌う声が聞こえてきます。
次の日も、ネコは納屋に入ってみました。
するとキョロキョロと、まわりを見回しているネズミを見つけました。
ネズミは袋からこぼれた豆を、拾おうとしています。
そのとたん、ネコはネズミに飛びかかっていきました。
「ひゃ〜っ!」
おどろいたネズミは、今にも泣きそうな声で言いました。
「お願いです。
どうかわたしを、見逃して下さい。
わたしたちネズミは、ネズミのお宝をみがかなくてはなりません。
これは、大変な仕事なのです。
疲れがたまったのか、お母さんが病気で倒れてしまったのです。
それでお母さんに栄養をつけさせようと、豆を探しに出て来たところです。
お母さんが元気になったら、わたしはあなたに食べられに出てきます。
それまでどうか、待ってください」
「・・・・・・」
ネコは、ネズミをはなしてやりました。
「ありがとうございます。約束は必ず守りますから」
子ネズミが穴の中へ帰ってしばらくすると、ネズミたちの前に豆がバラバラと落ちてきました。
子ネズミが驚いて顔をあげてみると、なんとネコが一粒一粒、豆を穴から落としているのです。
子ネズミは豆をお母さんに渡すと、ネコの前に出て言いました。
「ネコさん、ありがとう。
これでお母さんも、元気になる事でしょう。
さあ約束通り、わたしを食べて下さい」
しかしネコは持っていた残りの豆を子ネズミの前に置くと、そのまま納屋から出て行きました。
「ありがとう。ネコさん」
ネズミの目から、涙がポロリとこぼれました。
それから何日かたった、ある日の事。
納屋の方から、
♪チャリン、チャリン
と、いう音がします。
納屋の戸を開けたおじいさんとおばあさんは、目を丸くしました。
「これは、どうした事じゃ?」
なんと床の穴の中から、小判がどんどんと出てくるのです。
そして小判のあとから子ネズミ、母ネズミ、ほかのネズミたちも出て来ました。
子ネズミが小さな頭をペコリと下げると、
「おかげさまで、お母さんの病気もすっかりよくなりました。
本当に、ありがとうございました。
それとネズミのお宝を、無事にみがき終える事が出来ました。
お礼に少しではございますが、この小判をお受け取りください」
と、山のように積み上げられた小判を指さしました。
「なんと、このお宝をわしらにくれるじゃと」
それはおじいさんとおばあさんが二人で暮らしていくには、十分すぎるほどのお宝でした。
こうしておじいさんとおばあさんは、いつまでも何不自由なく元気に暮らす事が出来ました。
もちろんネコと一緒に、ネズミたちもとても可愛がったという事です。
おしまい
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