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          福娘童話集 > お話し きかせてね > 日本昔話の朗読 
         
          
         
クッカルとカラス 
鹿児島県の民話→ 鹿児島県情報 
      
      
       むかしむかし、カラスの羽は今の様な真っ黒ではなくて、赤い羽毛に紫や青緑の混じった、それは美しい色でした。 
 他の烏はみんな、そんなカラスをうらやましがっていました。 
 特に、クッカルは、 
「あーあ、おいらの着物は真っ黒なばかりで面白くない。一度でいいから、カラスさんの様な美しい着物を着てみたいな」 
と、思っていました。 
 クッカルというのは、カラスによく似たくちばしの長い鳥です。 
 そこである日、クッカルはカラスを騙して着物を取ってやろうと考えました。 
 そこでさっそく、カラスのところへ出かけて行って、 
「カラスさん、今日は暑いから水浴びに行こう」 
と、誘いました。 
 するとカラスは、 
「それはいいな。よし、行こう」 
と、言って、二人は森の奥の沼に出かけたのです。 
 そして、それぞれは自分の着物を脱いで、ザブーンと水に飛び込みました。 
 天気が良くポカポカと暖かいので、水浴びの好きな二人はとても楽しく遊びました。 
 ところがしばらくすると、クッカルは、 
「ありゃー、大事な用事を思い出した。すまないが先に帰るよ」 
と、言って、帰ってしまいました。 
 一人残されたカラスは、 
「あーあ、もうちょっと、一緒に遊びたかったのに」 
と、ぶつぶつ言いながら水からあがって着物を着ようとしたのですが、ところがどこを探しても自慢の美しい着物はなく、そこにあるのは真っ黒で汚い、クッカルの着物だけだったのです。 
「ややっ、さてはクッカルのやつ、おいらの着物を着ていったな」 
 カラスはクッカルに騙された事を知りましたが、もうどうしようもありません。 
 それで仕方なく、クッカルの着物を着て帰ったのです。 
 
 それからというものカラスは真っ黒で、クッカルはきれいな羽をつけているのだそうです。 
 そしてカラスはクッカルが憎くてたまらないので、今でもクッカルを見つけると目の敵にして追い回すのだそうです。 
      おしまい 
        
         
        
       
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