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          福娘童話集 > お話し きかせてね > 日本昔話の朗読 
         
          
         
金の鳥居(とりい) 
吉四六(きっちょむ)さん → 吉四六さんについて 
      
      
       むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもとんちの出来る人がいました。 
         
 ある日の事、吉四六さんは村の家々をまわって頼みました。 
「八幡さまの木の鳥居(とりい)が、古くなって壊れそうじゃ。 
 
みんなでいくらかずつを出し合って、金の鳥居を寄付したいと思うが。 
 どうだろうか?」 
「それは良い考えだ。吉四六さんも、たまには良い事を言うの」 
 こうして村人たちは、吉四六さんにお金を預けました。 
 
 さて、それからいく日もたたないうちに吉四六さんが、 
「金の鳥居が、出来ました」 
と、ふれまわったので、 
「ほう、ずいぶんと早くに出来たな」 
「一体、どんなに立派な鳥居だろう?」 
と、さっそく村人たちは、八幡さまヘ出かけて行きました。 
 ところが鳥居はそのままで、どこにも金の鳥居なんてありません。 
「どういう事だ? 吉四六さんを呼んで訳を聞こう」 
 そこで呼ばれた吉四六さんが、やって来ると、 
「ほら、ちゃんとそこに、金の鳥居が建ててあるではないか」 
と、みんなの足元を指差しました。 
 みんなが見てみると、そこには縫い物に使う木綿針で作った小さな鳥居が、ちょこんと置かれていたのです。 
「なるほど、確かにこれも、金の鳥居だ。こりゃあ吉四六さんに、いっぱい食わされたわ」 
 村人たちは、笑いながら帰って行きました。 
      おしまい 
        
         
        
       
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