| 
      | 
     
          福娘童話集 > お話し きかせてね > 日本昔話の朗読 
         
          
         
お月さまが見ているよ 
岐阜県の民話→ 岐阜県の情報 
      
       
      
       むかしむかし、あるところに、お父さんと男の子が二人で暮らしていました。 
 お母さんが亡くなったので、お父さんは一人で男の子を育てているのです。 
 お父さんは男の子をとても可愛がり、山へ仕事に行く時も、町へ出かける時も、いつも男の子を連れて行きました。 
 
 さて、ある月夜の晩の事です。 
 町へお使いに行っての帰り道、お父さんがふと横の畑を見ると、おいしそうなカボチャが顔を出していました。 
 お父さんはそのカボチャが食べたくなり、男の子に言いました。 
「おい、誰か見ている者がいたら、すぐに知らせろよ。お父さんが、今からカボチャを取ってきてやるからな」 
「うん。わかった」 
 男の子が返事をすると、お父さんは畑の中に入って行きました。 
 するとそのとたん、男の子が言いました。 
「だめ! お父さん、見ているよ」 
「えっ!」 
 お父さんはびっくりして、畑の中にしゃがみ込みました。 
 でも周りには、人のいる様子がありません。 
 お父さんは畑から立ちあがって、男の子に言いました。 
「何を言っているんだ? 誰も、見ていないじゃないか」 
 すると男の子が、空を指差して言いました。 
「ほら、お月さまが見ているよ」 
 お父さんが空を見上げると、大きな満月が二人を照らしています。 
「そうか、なるほど。確かに、お月さまが見ているよな。・・・ありがとよ、お月さま」 
 お父さんはカボチャを盗むのをやめると、男の子と手をつないで帰りました。 
      おしまい 
        
         
        
       
     | 
      | 
    
       |