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      福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうの日本昔話 
       
        
       
ひょうたん1つでカモ十羽 
吉四六(きっちょむ)さん → 吉四六さんについて 
      
       
      
      
       むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。 
         
 そろそろ秋が深まり、吉四六さんの村にもカモが飛んで来る様になりました。 
「カモを食いたいが、庄屋(しょうや)さんの様に鉄砲を持っていないしな。 
 どうやって、カモを取ろうか。 
 カモという奴は渡り鳥だから、いつも飛び疲れているはず。 
 疲れると誰でも、休みたくなるものだ。 
 だから、休む場所があればカモも、・・・そうじゃ」 
 吉四六さんはポンと手を叩くと、ひょうたんのくびれたところになわをつけて池に出かけました。 
「おお、いるわ、いるわ。カモの奴、何にも知らずに遊んでおるわ」 
 吉四六さんはふんどしひとつになると、ひょうたんをかかえて池に入って行きました。 
 ひょうたんのなわの途中には、重りの石がしばってあります。 
 吉四六さんはひょうたんを浮かべると、水面から首だけを出して水草のかげに隠れました。 
 カモは、そんな事は知りません。 
 ふと見ると、ひょうたんがヒョッコリと浮かんでいます。 
 これは良い物があると、カモはひょうたんに登って羽をつくろい始めました。 
 カモは、油断しきっています。 
「しめしめ」 
 吉四六さんは水草のかげからそっと手を伸ばして、カモの足をギュッとつかみました。 
 手づかみで、カモの生け捕りです。 
「はい、一丁あがり」 
 こうして捕まえたカモは、なわのはしに次々としばっていき、その数はとうとう十羽になりました。 
 ひょうたん一つで、カモが大猟です。 
 吉四六さんはカモをかついで家に帰り、その晩はたくさんのカモなべを作って村中にふるまいました。 
      おしまい 
         
         
        
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