| 
       | 
      | 
     
      福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうの日本昔話 
       
         
       
      葉のない木と葉のある木  
岐阜県の民話 → 岐阜県情報  
      
      
       むかしむかし、スズメとカラスが林に行って、楢(なら)の木に一夜の宿を頼みました。  
 すると楢の木は、  
「ふん。お前たちみたいなやつに、宿なんか貸せんわ」  
と、断ったのです。  
 するとそこへ神さまがやって来て、楢の木に言いました。  
「これこれ。へる物でもないし、一宿ぐらい貸してやれ」  
 しかし楢の木は、首をふって言いました。  
「いいえ、いくら神さまに言われても、こればっかりはゆずれません。 
 わしは木の中でも、位の高い楢の木です。 
 他の木とは、格が違います。 
 ツルやタカと言った格の高い鳥ならまだしも、スズメやカラスごときには宿は貸せません」  
「そこを曲げて、今回だけでも」  
「いいえ。曲げられません」 
「どうしてもか?」 
「はい、どうしてもです」  
 この楢の木の態度には、さすがの神さまも腹を立てました。  
「それなら、仕方がない。今日以降、お前たちは、冬は葉のないようにしてくれる。それでも、いいのか?」  
「はい、お好きなように」  
「よし、わかった! ・・・では、お前たち、わしが他を当たってやるから、一緒に来るがいい」  
 神さまはそう言うとスズメとカラスを連れて、今度は杉や松や檜(ひのき)のところへ行きました。  
「実はな、これこれこういう訳で、スズメとカラスが困っておるのだ。どうだ、一晩の宿を貸してもらえないだろうか?」  
 すると、杉も松も檜もこころよく言いました。  
「はい。それでは、どうぞ私たちを宿にお使い下さい」  
 これを聞いた神さまは、とても喜びました。  
「おお、そうかそうか、お前たちは、実に良い心がけをしておる。この褒美に、お前たちはどんな時でも葉があるようにしてやるかなら」  
 
 こんな理由で、今でも楢の木は冬になると葉がなくなり、杉や松や檜たちは冬でも葉が青々としているのです。  
      おしまい 
         
         
        
            | 
      | 
     |