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          福娘童話集 > お話し きかせてね > 日本昔話の朗読 
         
          
         
皿々雪(さらさらゆき) 
石川県の民話 → 石川県情報 
      
      
       むかしむかし、あるところに、実子(じっし)と継子(ままこ)の姉妹がいました。 
 実子の方は毎日きれいな着物を着て遊んでばかりいますが、でも継子の方はろくにご飯を食べさせてもらえず、ボロボロの汚い着物で毎日仕事ばかりさせられていました。 
 
 ある冬の、寒い日の事です。 
 継子は川で、ダイコンを洗っていました。 
 川の水は冷たくて、手がジンジンとハリを突き刺すような痛さです。 
 その時、川の横をお殿さまの一行が通りかかって、お殿さまが継子に声をかけました。 
「おお、娘。 
 この寒いのに、よくがんばっておるのう。 
 今日は、庄屋(しょうや)の家に村の者をよんで歌会(うたかい)をするが、お前も来てはどうじゃ?」 
「えっ? わたしが歌会に?」 
 継子は、こまってしまいました。 
 実子はともかく、継子は仕事がいそがしくて歌などよんだ事がないのです。 
「なに、そう難しいものではない。感じた事を、そのまま言葉にすればよいのじゃ」 
 お殿さまにそう言われて、継子はしかたなく庄屋の家に行きました。 
 
 さて、いよいよ歌よみがはじまりました。 
 大きな盤(ばん)の上に置いた皿の中にたくさんの塩がもってあり、その中に松をうえた物を題にして歌をよむことになりました。 
 一番最初に、実子が歌をよむことになりました。 
 実子は自信満々に、こんな歌をよみました。 
♪盤の上に皿がある 
♪皿の上に塩がある 
♪塩の上に松がある 
 つまらない歌なので、お殿さまは気にもとめませんでした。 
 しばらくして、継子が歌をよむ番になりました。 
 継子は塩の中にうえられた松を見つめると、お殿さまに言われたように、感じたことを言葉にしました。 
♪ばんさらや 
♪やさらの上に雪降って 
♪雪を根として育つ松かや 
 それを聞いたお殿さまは、思わず声を上げました。 
「うむ、見事じゃ。きびしい寒さに負けじとがんばる、松の力強さが伝わってくるわ」 
 お殿さまはその歌が大変気に入って、継子をお城へ連れて帰ると歌よみの勉強をさせました。 
 
 その後、継子は出世して、幸せに暮らしたという事です。 
      おしまい 
        
         
        
       
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