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          福娘童話集 > お話し きかせてね > 日本昔話の朗読 
         
          
         
スズメの身代わり 
三重県の民話 → 三重県情報 
      
      
       江戸の終わり頃、三重のある村の庄屋さんが、こんな夢のお告げを聞きました。 
『三日後の夜に、大嵐がやってくる。 
 このあたりの人間が、たくさん死ぬ運命だ。 
 だがさいわいにも、村のスズメたちが身代わりになるそうだ。 
 安心するがよい』 
 目を覚ました庄屋さんはどうしたらよいかわからず、夜が明けると近くのお寺へ出かけて行き、親しくしている和尚さんに夢の話をしました。 
 すると和尚さんも不思議な事に、 
「なんと! 実はわしも昨日の晩、そなたとまったく同じ夢のお告げを聞いたのじゃ」 
と、言うではありませんか。 
「スズメが身代わりになるとは意味がわからぬが、とにかく大変な事が起こるのは間違いない」 
 そこで二人はお寺のご本尊の薬師如来(やくしにょらい)に、少しでも村の被害が少なくなるようにとお祈りしました。 
 
 三日後、夕方から強い風が吹き出して、家がゆれるほどの大嵐となりました。 
 夢のお告げは、本当だったのです。 
 
 翌朝、二人は大嵐がさった村の様子を見に行きました。 
 するとさいわいな事に、村人たちの被害はほとんどありませんでした。 
「あれほどの大嵐だったのに、けが人すら出ていないとは。・・・そう言えば、スズメたちが身代わりになると言っていたな」 
「はい、スズメのねぐらは裏山の竹林です。行ってみましょう」 
 二人は裏山の竹林に行って、びっくりしました。 
 なんと数千羽にものぼるたくさんのスズメたちが、足のふみ場もないほどに死んでいたのです。 
「そうか、身代わりとはこういう事だったのか」 
「スズメたちよ、ありがとう」 
 庄屋さんと和尚さんは手を合わせると、村人たちの身代わりになったスズメたちの冥福(めいふく)をいのりました。 
      おしまい 
        
         
        
       
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