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      イラスト myi   ブログ sorairoiro 
       
小人とクツ屋 
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          | ♪音声配信(html5) | 
         
        
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          | 音声 ことば工房 :   BGM SAM Free Music    効果音 民潭/ポケットエポック | 
         
       
      
       むかしむかし、あるところに、まじめなクツ屋がいました。 
         クツ屋は毎日まじめに働いているのに、だんだん貧乏(びんぼう)になってしまい、とうとう一足分のクツの皮しか残らなくなりました。 
        
       「ああ、これでクツを作るのも最後か」 
        
        クツ屋はその最後の皮をクツの形に切って、その日は寝てしまいました。 
           
         次の日の朝、目を覚ましたクツ屋はビックリです。 
        
        何とクツが一足、ちゃんと出来上がっていたのです。 
         そのクツはとても素晴らしい出来だったので、とても高い値段で売れました。 
        
        クツ屋はそのお金で、二足分の皮を買いました。 
        
        そしてその皮をクツの形に切ったところで、 
        
       また寝てしまいました。 
        
        すると次の日の朝にも、立派なクツが二足出来上がっていました。 
         それからは毎日、同じ事が続きました。 
        
        二足のクツが四足になり、四足が八足、八足が十六足、十六足が三十二足・・・と、どんどんクツが増えていったのです。 
         おかげでクツ屋は、すっかりお金持ちになりました。 
   
         ある日、クツ屋はおかみさんと一緒に、一晩中起きている事にしました。 
        
        誰があの素晴らしいクツをつくっているのか、確かめようと思ったのです。 
         夜中になると、どこからか裸の小人が二人現れました。 
        
        二人の小人は小さな手で素早く皮をぬい、叩いて形を整えると、あっと言う間に素晴らしいクツを作り上げました。 
         次の朝、おかみさんがクツ屋に言いました。 
        
       「ねえ。クツをつくってくれたお礼に、あの小人たちに服をぬってあげようと思うの。 
         だって裸じゃ、寒そうだもの。 
         だからあなたは、小人にクツをつくってあげたら」 
        「そうだね。そうしよう」 
   
         次の夜、クツ屋はクツの皮の代わりに、おかみさんがぬった小さなシャツとズボンとチョッキと、クツ屋がつくった小さなクツとクツ下を二人分置いておきました。 
        
        すると小人たちは大喜びで服を着て、 
        
       そこら中を飛びはねながら歌いました。 
        
       ♪これで、ぼくらは可愛い小人。 
        ♪もう、クツ屋じゃ、なくなった。 
        そして外に出て行き、そのまま二度と現れませんでした。 
        
        小人はいなくなりましたが、それからもクツ屋のクツは飛ぶ様に売れ続けて、クツ屋は幸せに暮らす事が出来たのです。 
      おしまい 
          
         
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