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2015年10月19日の新作昔話
欲張りなエスキモー
カナダの昔話 → カナダの情報
むかしむかし、エスキモーの村に、一人の男が住んでいました。
「そろそろ、白鳥が来る季節だな。よし、白鳥を取りにいこう」
男が湖の岸で身をかがめて待っていると、二羽の白鳥が氷の溶け出した湖の上をゆっくりと泳いで来ました。
(しめしめ。二羽とも捕まえてやるぞ)
男は白鳥たちが岸に近づいて来ると、
(今だ!)
と、いきなり飛び出して、二羽の白鳥の足を両手でつかみました。
びっくりした白鳥は飛び立とうとしますが、男は白鳥の足を離しません。
(逃がすものか! 二羽とも手に入れるんだ!)
やがて二羽の白鳥は男を足にぶらさげたまま、空へと舞い上がりました。
男は白鳥にぶら下がったまま、どんどん遠くへ飛んでいきます。
しばらくすると、向こうに海が見えてきました。
海にはところどころに大きな氷の固まりがあるだけで、あとは冷たい海がどこまでも広がっています。
(まずいぞ!
このままでは、白鳥たちは海の上へ舞い降りるかもしれない。
そうしたら、おれはおぼれ死んでしまうぞ)
そこで男は仕方なく、一羽の白鳥を逃がす事にしました。
一羽だけなら男が重くて、うまく飛べないと思ったのです。
男が一羽を逃すと、思った通り一羽だけになった白鳥は男を引っ張りきれずに、だんだんと下の方へ降りていきました。
そしてぎりぎり海の手前で、白鳥は地上に降りました。
「ふーっ、危なかった。
あのまま片手を離さなかったら、今頃は冷たい海の中だ。
やっぱり、欲張ってはいけないな」
男はそう言うと、一羽だけになった白鳥を家に持って帰りました。
おしまい
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