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2020年9月21日の新作昔話
イラスト myi ブログ sorairoiro
あわれな悪魔
スウェーデンの昔話 → スウェーデンの国情報
むかしむかし、一匹のウシを飼っているお百姓(ひゃくしょう)が、ウシを牧場(ぼくじょう)へ連れて行きました。
そしてウシが草を食べるのを見ながら、神さまにお祈りをしました。
「神さま。
いつもわしらをお守りくださって、ありがとうございます。
今年もこのウシに、たっぷり草を食べさせてやってくださいまし」
それを一匹の悪魔(あくま)が、しげみのかげから聞いていました。
「ふん。
人間てやつは、何でもかんでもうまくいくと神さまにお礼を言う。
ところがだ、悪い事がおきると決まっておれたち悪魔のせいにする。
・・・くやしいな、おれみたいにいい悪魔もいるっていうのに。
ちくしょうめ、見ていろ!」
それから、三日がたちました。
お百姓のウシが沼(ぬま)に落ちて、出られなくなっていました。
それを見るとお百姓は、ひどく怒りました。
「何て事をしやがる! また、悪魔のやつのイタズラだな!」
悪魔は、しげみのかげからつぶやきました。
「ほらな。やっぱり、おれの思っていた通りだ」
お百姓はウシを引っ張り出すために、手伝いの人を呼びに行きました。
「よし、いい事をするチャンスだ!」
悪魔はしげみから出てくると、動けなくなったウシを助けてあげました。
「へっへっへっ、今度こそ、おれもお礼を言われるだろう」
悪魔は、ニコニコ顔です。
やがて、お百姓が帰ってきました。
そしてウシが沼からあがっているのを見ると、お百姓は大喜びで言いました。
「おおっ、神さま。ウシを引っ張りあげてくださって、ありがとうございます」
おしまい
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