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ささずんと昔話講座 第19話【黒姫物語】

読者の「NS.MOOOON」さんの投稿作品。

知っているようで知らない日本昔話を、ゆっくりの解説でずんちゃんとささらちゃんが学んでいく動画です。

黒姫物語

黒姫物語
長野県の民話長野県情報

 むかしむかし、志賀(しが)の大沼池(おおぬまいけ)に、大蛇がすんでいました。
 ある日のこと、大蛇は中野の城の黒姫(くろひめ)という、美しい姫を好きになったのです。
 そこで大蛇は若侍に姿を変えて城を訪れ、城主の高梨摂津守(たかなしせっつのかみ)に、
「姫を嫁に欲しい」
と、お願いしたのです。
 しかし摂津守は、その願いを聞き入れようとはしません。
 そこでたまりかねた若侍は、ついに自分の正体を明かして、
「わしの本当の姿は、大沼池の主である大蛇じゃ。是が非でも姫が欲しい!」
と、言ったのです。
 驚いた摂津守は、なんとかして大蛇の願いを退ける手はないかと考え、
「よし、それでは、わしの馬の後から城のまわりを二十一まわり出来れば、姫をお前の嫁にやることにしよう」
と、摂津守は約束したのです。
 さて、その当日、城のまわりには蛇が嫌がる鉄の柵が張りめぐらされて、そこに刀が何本も結びつけられました。
 そして摂津守が馬を走らせると、若侍姿の大蛇はその後を追いました。
 ところが馬の速さに負けまいと走る若侍は苦しさのあまり、とうとう大蛇の正体を現して、刀で傷を負いながらも馬を追いかけ、やっとのことで二十一まわりしました。
 だけど摂津守は、約束を守りません。
 怒り狂った大蛇は、中野城下の家々をこわし始めたのです。
 これを見ていた黒姫は、とうとう大蛇のもとに嫁ぐ決心をして、大暴れする大蛇に叫びました。
「大沼池の主さま。わたしはあなたのもとへ参りましよう」
 すると大蛇は暴れるのをやめて、黒姫を背中に乗せると、北の山へと消えてしまいました。
 野尻湖(のじりこ)の西にある黒姫山(くろひめやま)の名前は、この話からつけられたそうです。

おしまい

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